しかし、糖尿病のある女性、特に1型の人には特殊な塊が出来ることがあります。幸いなことに、これは危ないものではないのです。
難しい名前です。"Diabetic Mastopathy"
1984年に発見された、まだまだ珍しい病気です。Diabetic Mastopathy。直訳すると、「糖尿病の乳腺障害」という意味になります。病名としてはSclerosing(硬化している) Lymphocytic(リンパ球性の) Lobulitis(小葉炎)を略して、SLLと書かれることが多いようです。なぜこんな難しい言葉を並べたかというと、この症状のことを知ってる医師がとても少ないからです。ガンになる危険はないのですが、乳ガンとよく似ているので、誤診で両方の乳房を切除されてしまった1型糖尿病の女性がアメリカにいました。だから、糖尿病のある女性はこういうものがあることを知っておく必要がありますね。
入手できる資料が少ないので、webで情報を集めるしか手がありません。
難しい横文字が続いてしまうのはこのためですので、ご容赦ください。
こんな女性はご注意を!
原因はまだはっきりしてませんが、1型糖尿病のように自己免疫に障害がある人に多いようです。固いかたまりで不規則な形状。手で触っても、マンモグラムや超音波検査をしても、SLLと診断はできないようです。そこで細い針で生検用の組織、体液を取るのですが、その針が通らないくらい固いという文献がありました。組織を調べればガンではないことが分かるのですから、糖尿病のある女性はあきらめてはいけません。
典型的なタイプは閉経前の1型の女性で、網膜症や神経障害などの合併症との関連性も指摘されています。しかし、意外なことに1型の男性にも起こることがありますし、1型のみならず2型糖尿病者にも、自己免疫異常の有無にかかわらず発症することがあるそうなのです。
日本の症例では山梨県の韮崎市立病院の外科医たちが『Breast Cancer(1998 Jul 25)』にこのSLLを発表していますが、その患者は糖尿病歴8年、43歳の2型糖尿病の女性でした。
とは言え、乳房のしこりに気付いても、私は糖尿病があるから乳ガンではない!などと決めつけてはいけませんよ。
たとえ、以前にこのSLLをやったことがあるとしてもです。
乳ガンも同じように固いしこりから始まりますから。
塊は小さいものから大きいものまで、数も1つから複数まで、片側の乳房あるいは両側等々とさまざまです。やっかいなことに、手術で摘出しても、また出来ることがあります。
もし、あなたが1型の女性で「しこり」があるのなら、医師にこのSLLの可能性を尋ねるべきでしょうね。
ご幸運を!
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from breastcancer.org