「複数の患者で使いまわし」のリスク
事件の発端は島根県のクリニックで外来患者に採血針を交換しないで複数回使用していたことから発覚しました。肉眼では見えませんが、細い針の先端は一回の穿刺でもかなり変形しています。新聞による談話では妙に痛い時があったことが報じられていました。お気の毒なことです。その後、針は交換していたが、穿刺器具の先端キャップ(針が出る穴があいた、皮膚に押し付ける部分)はそのままで、複数の患者に使用した事例が全国から報告されています。
慣れているはずの私でも、たまに先端キャップに血をつけてしまうことがありますから、この2つの使い回しはとても危険な行為です。
イギリスでこのような採血器具の共用で肝炎の感染があった記憶がありますし、それを受けて厚生労働省も平成18年3月3日付けの「採血用穿刺器具の取扱いについて」で、針はもちろんのこと血のつく可能性がある先端キャップも共用しないように指導しています。
病院の糖尿病教室や糖尿病週間などで行われる簡易血糖測定サービスでも、個人用の穿刺器具が使われる可能性がありますから、読者の皆様は下記の「複数の人の共用が禁止されていない」モデルであることを確認するようにしてください。
これらは針が一度動いたらリセットできない(つまり再利用できない)構造になっていて、皮膚に触れる先端部分ごと破棄されるようになっています。
>>次のページでは、共用が禁止されていない器具についてご紹介しましょう。>>