糖尿病/糖尿病対策の生活・運動療法

コレステロール、大きいことはいいことだ!(3ページ目)

コレステロールと言うと善玉(HDL)や悪玉(LDL)の話ばかりですが、そのサイズも大事なのです。小さい善玉は分解されやすく、小さい極悪玉は血管壁をすり抜けて動脈硬化の元凶になります。

執筆者:河合 勝幸

2型糖尿病は超悪玉コレステロールが増える!

ここでいう超悪玉コレステロールとは、小さくて重いLDLのこと。インスリンの不足、あるいはインスリンがうまく作用しない(抵抗性)と、血糖値が上がります。体はそのブドウ糖を中性脂肪にして貯蔵しようとしますが、作られた中性脂肪は肝臓でのVLDL(とても大きいLDL。これも悪玉)の増産をプロモートします。

また、インスリンが脂肪細胞に作用しない(抵抗性)と脂肪細胞は遊離脂肪酸を放出します。遊離脂肪酸は肝臓でのVLDLの増産をプロモートします。つまり、高血糖はおのずと高脂血症につながります。VLDLは悪玉のIDLやLDLへと小さくなるのですが、さらに2つのタンパク質によってLDLの中性脂肪が加水分解されて、よりサイズの小さな重いLDLになります。この小さなLDLは血管壁をやすやすと通り抜けますから「超悪玉コレステロール」と呼ばれるようになりました。血液中では抗酸化システムが働いていますが、血管外では酸化、糖化の防御力が低下します。この状態の小さなLDLはとても酸化されやすいのです。

前述のDr. Kleinは網膜や腎臓の細小血管でもLDLの酸化が起こっているのでは、と考えています。目や腎臓の合併症の人は、やがて心血管系の大血管症へと続くことが多いからです。

もちろん高血糖そのものが血管を損傷します。さらに高血圧が加わればダメージが大きくなり、高脂血症がとどめを刺すのでしょうか。

Dr. Kleinは細小血管のダメージとコレステロールの関係が証明できれば、大きな善玉(HDL)コレステロールを増やす薬や、危険な小サイズの超悪玉(LDL)コレステロールを排除する薬の開発につながると考えています。長寿の家族には大きなコレステロールを作る遺伝子があることが知られていますから、あながち夢ではありません。

いま、自分で出来ることは……

糖尿病治療の中心はいつも食事療法です。ローファット食、特に血清コレステロールを上げる飽和脂肪酸の多い油脂をカットすること。そしてコレステロールの多い食品を控えることは第一歩です。また、オメガ3脂肪酸の多い青背魚も中性脂肪値を下げてくれます。

過体重の人の減量は血糖だけでなく高脂血症にも効果があります。もちろん、高ファイバー食ですよ。そしてエクササイズで善玉コレステロールを上げること。

高脂血症の薬はすでにたくさんあります。医師に3ヵ月に1度くらいはコレステロールの話を持ち出して関心を向けてもらうのも「自分で出来ること」の一つですね。

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