糖尿病/糖尿病対策の生活・運動療法

グリセミック指数でダイエット?

グリセミック指数とは食後の血糖上昇の程度を表すものです。良い、悪いの評価ではありません。食事療法の目的に合わせた炭水化物の選択ができます。

執筆者:河合 勝幸

グリセミック指数とは一般の人には聞き慣れない言葉ですが、低インスリンダイエットの話題と共に新聞や雑誌でよく目にするようになりました。『グリセミック』とは『血糖の』という意味です。食後の血液中のブドウ糖の量や濃度は、食べた炭水化物の量と質に大きく影響されます。その炭水化物の『質』や形状、調理法に焦点を絞った考え方がグリセミック指数と呼ばれるのです。普通は50gのブドウ糖の吸収の程度と比べられます。ブドウ糖を100とするとこの食品(同量の炭水化物を含む)は50しか血糖を上げないとして、その『50』を指数として表わします。

血糖を上げにくい食品が選べるので、2型の糖尿病者には便利なものですが、過大に評価するのは早計です。数値として提示されると、まるで科学的事実のように思ってしまいますが本当はとても偏差が大きいものです。
糖代謝は同じ人が、日によっても時間によっても別の反応を示します。個人差の違いも大きいものです。血糖値だって静脈や毛細血管では違いますし、測定部位によってもタイムラグが生じます。よく使われる簡易血糖測定器は、プラスマイナス10%の誤差が許されています。食品だって千差万別です。『全粒パン』と表示してあっても、100%の全粒粉で作ったのか全粒粉が混ぜてあるのか分りません。

また、この『指数』は公的な機関が調べたものではありません。ですから研究者によってまちまちの数値になります。そもそも同じ名前のパンでも、内容が異なるものを調べているのですからある意味では同じレベルで比べるのはナンセンスなのです。

では全く役に立たないかと言うと、そうではありません。たとえば糖尿病の食事療法では『砂糖』を一日6グラムまでと教えています。しかし、砂糖は真っ白いパンよりも血糖値を上げないことがグリセミック指数の研究で証明できました。アメリカ糖尿病協会ではこのことを認めて『砂糖』の制限を無くして、食事の炭水化物の総量をカウントすることにしました。不自由さが一つ解消されたのです。
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