糖尿病患者もアルツハイマー病を予防したい!
アルツハイマー病が脳神経系のインスリン抵抗性に起因するのでは?という論文をClose Up!したことがあります。で、観察研究ですが、アクトスやアバンディアのようなTZD剤が効くのでは?という話があるのです。この薬が2型糖尿病の人がアルツハイマー病になるのを改善するのか、糖尿病のないアルツハイマー病の人にも予防や進行を遅らせる効果があるのかは現在治験中です。解決法がなかなか見えないアルツハイマー病の一つの希望になるといいですね。
私はアルツハイマー病には絶対なりたくない「糖尿病患者」です。(当ガイド近影) |
そして、糖尿病とアルツハイマー病には深い関係がありそうなんです。なんとか予防しなくちゃ!
認知症のことを英語でdementia(ディメンシア)というのですが、deは「失う」という意味の接頭語、mentが「精神」で、-iaが「病気」を示す接尾語です。認知症はアルツハイマー病と血血管障害に分けられますが、実際には両方が混合しているタイプが多いそうです。そこで、ここでは広義にアルツハイマー病とか認知症という言葉を用います。
2型糖尿病とアルツハイマー病の関係
大人数のグループを長い年月をかけて追跡調査する研究では、糖尿病のある人は歳とともに認知症になりやすくなることが分かっています。カトリック教会の高齢な神父や修道女ら824人を平均5.5年追跡した調査では、2型糖尿病があると65%もアルツハイマー病のリスクが高くなることが分かりました。被験者はとても生活習慣が一定している人たちです。
リスクをパーセントで表わすとよく分かりませんので、別のイギリスの研究を引用しましょう。平均年齢56歳の男女5,600人を10年にわたって追跡した調査では、糖尿病のある人は明らかに知能問診テストの結果が悪かったのです。
糖尿病のない人「1人」に対し、男性の糖尿病者では「2.45人」、女性では「1.83人」の割合(オッズ)で知能の低下が見られました。
[Neurology November 22, 2005]
では、糖尿病とアルツハイマー病の関係は証明されたか?というと、まだそのレベルではありません。そこで2つの戦略が立てられています。1つは糖尿病とアルツハイマー病を結びつけるメカニズムの解明。もう1つは、この2つの病気が関連するものと前提して、どんな治療法があるかをテストすることです。逆に言えば、ある薬が糖尿病者のアルツハイマー病への進行を遅らせる(予防できる)ことが分かれば、糖尿病とアルツハイマー病の関係の一面が見えてきます。
>>2006年7月、スペインのマドリッドで開かれた「アルツハイマー病とその関連病の国際会議」で、アルツハイマー病の専門家を危惧させる発表がありました。次のページで考えましょう。>>