インスリン抵抗性改善薬とアルツハイマー病

糖尿病というとホルモンのインスリンが欠乏する病気だと思われがちですが、逆にインスリンが過剰に分泌されている2型糖尿病もあるのです。インスリンが体の細胞に正常に作用しないので、たくさん分泌して血糖を正常にしようとするのです。これをインスリン抵抗性というのですが、それを改善する経口剤がTZD剤(チアゾリジン誘導体)で、アクトスとかアバンディアという商品があります。

ボストン大学大学院公衆衛生学のドナルド ミラー博士(Sc. D. Donald Miller)が142,328人の退役軍人の糖尿病者を分析したところ─この人達は糖尿病診断時にアルツハイマー病ではなく、他の薬を併用してない患者─最初からTZD剤を処方された患者はインスリン治療の患者に比べて、20%もアルツハイマー病になるリスクが少なかったのです。これは他の経口剤、たとえばメトホルミン等の2型糖尿病薬と比べても、やはりアルツハイマー病になりにくかったのです。希望が持てますね。

これとは別にバージニア大学の研究者が、少人数(完了した人数は25人)、短期間(18ヵ月)ですが、糖尿病のないアルツハイマー病患者にアクトスとプラセボ(偽薬)を投与して安全性とその効果を調べた研究もあります。アクトス組ではアルツハイマー病の進行がゆっくりになりました。

インスリン抵抗性とアルツハイマー病の関係は関連記事をご覧になって頂くとして、この2型糖尿病薬がアルツハイマー病を改善しそうだという発表が新たな波紋を広げました。

本当に糖尿病者がアルツハイマー病になりやすいのなら大変なことになります。
アメリカでは成人の3人に1人に前糖尿病あるいは2型糖尿病が見られるからです。
特に60歳以上のアメリカ人は、40%の人にインスリン抵抗性があるとされますから、糖尿病とアルツハイマー病、その他の合併症を考えると社会保険の負担は膨大なものになってしまいます。ちなみに、アメリカのアルツハイマー病患者は450万人、糖尿病患者は2,000万人を超えています。日本では同じく認知症150万人(アルツハイマー病65万人)と1,000万人と推測されています。

インスリン抵抗性は肥満が起因になります。高脂肪、高炭水化物(砂糖など)の食事は禁物ですよ。



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