NHKの公開講座『うつ病』で、一人のご婦人が糖尿病者はうつ病になりやすいかどうかの質問をしていました。講師の答えは、糖尿病とうつ病は直接にはかかわりのないこと、合併症などの不安や恐れが関与するかも知れないとのことでした。
偶然ですが、Diabetes Care 6月号(2001,24,1069-1078)に『糖尿病者はうつ病になるリスクが2倍も高い』という論文が載っています。この研究は、ネットの検索機能を使って膨大なデータから選別したもので、ネット時代だからこそ出来た精度の高いものです。結論として糖尿病のある人はうつになりやすいのです。糖尿病の『型』には関係がありませんでした。女性の糖尿病とうつ病の有病率は28%もあり、男性の18%よりも明らかに高リスクです。
「糖尿病とうつ病…どちらがきっかけになったかは関係なく、両方の治療を受けると血糖コントロールがよくなります」と今回の研究をまとめたワシントン大学医科大学院のDr.Patrick J. Lustmanは語っています。
糖尿病はとても『要求』の多い病気です。「ああしてはいけない」、「こうしなさい」という指令、命令ばかりです。しかもそのほとんどが採血したり、インスリン注射をしたり、おいしい物を我慢しろという不愉快なものばかりですから、いい加減にいやになります。
一生懸命に努力しても結果が出ないことが続けば(往々にしてそうなのです)、投げやりにもなろうというもの。
全てを放棄してケ・セラ・セラという勇ましい人はさすがに少数派ですが、多くの人は次第に血糖コントロールに関心を失うようになります。うつ状態の兆候です。
うつは初老だけのものではありません。子供達も落ち込みます。