更年期障害のホルモン療法が心臓病歴のない女性に30%も心臓病のリスクを高めるという研究がある一方で、心臓病の既往症のある女性では糖尿病から守るようだという報告がありました。
Alka Kanaya医師をチームリーダーとする『心臓病とエストロジェン/プロジェスチン・ホルモン療法スタディ』は、心臓病のある閉経後の女性がホルモン療法を受けると35%も糖尿病の発症が減ったと発表しました。カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究です。
もちろん、糖尿病予防のために女性ホルモンの投与が勧められているのではありませんが、エストロジェン/プロジェスチンのホルモン療法が代謝障害にどう影響するかという研究に道を開くものとなりそうです。
2,763人の閉経後の、心臓病の既往症のある女性達が全米20州の医療センターに参加しました。ランダム化、二重盲検法でエストロジェン/プロジェスチン組とプラセボ(偽薬)組に分かれて『閉経後のホルモン療法が血糖に与える影響』の調査が行われました。
参加者の中には既に糖尿病のある人や空腹時の耐糖能障害(前糖尿病状態)の人もいましたが等分に配されました。
4年間に新たに糖尿病と診断された人が合計で160人いましたが、そのうち62人がホルモン療法組で98人がプラセボ組です。ホルモン療法を受けた女性の6.2%が糖尿病になったのに対して、プラセボ組では9.5%の女性が糖尿病になりました。
体重やウエストサイズの要因を除いても、明らかにプラセボ組は空腹時血糖値が高かったのです。その理由はまだ分かりません。