体内クロムレベルの低い 糖尿病の心臓病者
有力な糖尿病の医学誌Diabetes Care(2004,9月号、アメリカ)によると、糖尿病のある男性、特に糖尿病と心臓病を併せ持つ男性は明らかにからだの中のクロムのレベルが低かったのです。ハーバード大学は万単位の医療従事者を長年にわたって追跡調査をしていて、膨大な疾病と生活習慣のデータを持っています。今回は食生活と慢性病との関連を調べた51,529人(男性)の中から、1,254人の足の爪のクロム含有量を分析しました。その結果、糖尿病者で心臓病のある人は46%も健常者よりもクロム成分が少なかったのです。
健常者の平均値が1.24ppmだったのに対して糖尿病者は1.02ppm、心臓病がある糖尿病者は0.90ppmでした。
食事のクロム不足が糖尿病や心臓病を招くのか、食事制限や多尿などの病気の結果としてクロムレベルが低下しているのかはまだ分かりません。
アメリカの糖尿病者の死因トップは心臓病です。クロムはインスリン感受性を高めると考えられていますから、肥満の2型が多いアメリカではクロムの研究が盛んに行われています。
進むクロムのサプリと安全性確認の研究
クロムといえば何を思い浮かべますか?自動車のピカピカのクロムメッキもあれば、高級ステンレス鋼18-8もありますね。公害問題の『6価クロム』も毒性は古くから知られていました。クロムのサプリメントはからだに吸収されやすい『クロニウム・ピコリナト』という物質が使われています。このところ、クロムサプリの安全性を確認する研究が少しづつ発表されていまず。NIH(アメリカ国立保険研究所)などが研究資金のスポンサーになったものもありますから、怪しげな健康食品のうたい文句ではありません。
クロムとビオチン(ビタミン)を合剤にしたサプリも話題になっています。
どの位のクロムを取ればいいの?
だれでも気になりますが、なにしろ、ごく微量な必須ミネラルなので、1日の目標摂取量は決まっていません。アメリカでは安全な範囲として大人(子供では7歳以上)で1日50-200mcgまでです。
医師の管理下で行われるクロムサプリの治験では、1日あたり500~1,000mcgも投与されますが、糖尿病研究の大本山『ジョスリン糖尿病センター』(ボストン)では、1日400mcg以上は取らないように注意を呼び掛けています。大量のクロム摂取はじん臓にダメージを与え、DNAを切断する(発ガン性)可能性があるのです。クロム化合物を製造する工場では、いろいろな障害がありました。
クロムを多く含む食品
ビール酵母はヨーグルトに掛けて食べるとおいしいですよ。 |
タイムや唐辛子のようなハーブにもたくさんありますが、スパイスやハーブでは食品としてまとまった量を取ることはできません。
野菜の葉もの、魚・肉、豆類もクロム食品です。
微量必須ミネラルは、絶対に必要なものですが、取り過ぎると毒性がでるという、やっかいな一面があります。
食品で安全に摂取するか、サプリで最大効果を狙うか……悩ましいですね。
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