『境界型糖尿病』という言葉がNHKの"きょうの健康"でも使われています。
しかし『境界型』というのは糖尿病ではない状態を指しますので、境界型糖尿病とは自己矛盾のある用語です。
空腹時血糖あるいはブドウ糖負荷テストでは、糖尿病と診断できないまでも、明らかに正常値より高い血糖値を示すグレーゾーンがあります。このタイプを日本では『境界型』と呼んでいます。
『型』というのは日本特有の考え方で、世界保健機関(WHO)やアメリカ糖尿病協会(ADA)では使われていません。
血糖値は常に変動しているので、血糖値の判定と病気の診断とはもともと別なものとして『型』がつけられました。
慎重な診断をしたい医師には都合のよい表現ですが、血糖値判定で『糖尿病型』とされても、これは『糖尿病』の診断ではないので患者には混乱の元となります。
わが国の『境界型』をグローバルスタンダードでは『耐糖能障害』と呼びます。
具体的には空腹時血糖値が110mg/dl以上で、126mg/dl未満の人が相当します。
mg/dl(ミリグラム・パー・デシリッター)とは血液(血しょう)100mlに含まれるブドウ糖の量です。