五月病は、実は5月だけに起こるものとはかぎりません。また、五月病が文字通りの五月病で終わらず、その後もずっと鬱屈した気分を引きずってしまう人もいます。せっかくの人生を憂うつなものにしないためにも、対処法について知っておきましょう。
■五月病はいつでも誰にでも起こるもの
春から心機一転、新しい職場に転職したり、気分を新たに引越しや留学を始められた人も多いのではないでしょうか?最初の1ヶ月は新しい人間関係や仕事、環境を把握するのに精いっぱいで、息つくひまもなくめまぐるしく過ぎていったのではないかと思います。
しかし、1ヶ月をすぎるとそろそろ新しい状況にも慣れてきて、ふと自分の現状を振り返ってみる機会も多くなっていると思います。なかには「あんなに期待して入った会社だったのに、こんなもんだったのか」「あれだけ苦労して夢を実現したのに、意外につまんないものだな」など、思い描いていた夢と現実のギャップに戸惑い、急にむなしさを感じている方もいるのではないかと思います。
このように、4月に期待に胸を脹らませて新生活を始めた人が、ゴールデンウィークを過ぎた頃から急にやる気をなくし、仕事や勉強への意欲を失ってしまうことを「五月病」といいます。しかし、五月病はこの季節に限定されるものではなく、夢を抱いて新しいことを始めた際には、いつでも起こる可能性のあるスランプなのです。
現状への不満が大きければ大きいほど理想へのあこがれは強くなり、「この夢さえ実現できれば、一気にバラ色の生活に転換するに違いない」と過度な期待をかけてしまうこともあるでしょう。しかし、現実は思いどおりにいかなかったり、あこがれの新生活も意外に地味で以前と変わらなかったりすることもあり、そのときに受けるショックが大きいほど、五月病になりやすくなってしまいます。
もちろん、一度スランプに陥ったとしても「仕方がない」とあきらめることができたり、何か別の興味や楽しみを見つけることができれば、いずれ気分の落ち込みも回復し、文字通りの「五月病」で終わります。しかし、気持ちの切り替えをうまく図れないでいると、無気力、無感動がその後もずっと続いてしまうことも少なくありません。この状態を専門用語では、「アパシー」(無気力症)といいます。
アパシーの状態がこじれると、働くことにも、さらには生きることにも興味を失い、仕事を辞めて家の中に引きこもってしまう人もいます。これを予防するには、五月病の段階でスランプを自覚し、早めに気持ちを切り替えてアパシーへの移行を防ぐことが必要になります。それについては次のページで見てみましょう。