30代はアキレス腱の老化の始まり
少なくとも運動会の1週間前からアキレス腱を柔軟にするストレッチを |
会社の運動会や子供の運動会に参加する機会も増えますね。10代、20代の若者は腱の柔軟性があるのでアキレス腱を切る事はあまりありません。
しかし、30代以降の方々は全身の筋肉の衰えも始まり、それ以上に腱の柔軟性が落ちています。運動会などで急に運動して高く跳んだり、走ってから急に止まったりした瞬間にアキレス腱断裂という大怪我をする事になります
今回は、アキレス断裂を防ぐための予防策やストレッチについてお話を致します。
アキレス腱断裂…元の状態に戻るには1年かかることも!
アキレス腱は、ご存知の通り足首の太い腱です。外から手でつまんで確認することができます。もし断裂すると断裂の程度によりますが、治療は保存的に固定、または手術後に固定を行う事になります。
固定する形は尖足(センソク)位といって爪先立ちのアキレス腱に負担がかからない状態です。そのために固定をやめた後にリハビリテーションで徐々にアキレス腱に負担をかけていきます。完全に断裂してしまうとリハビリテーションを含めて1年ぐらいは元の状態には戻りません。
二足歩行がアキレス腱断裂の原因
跳ぶ、急に止まる…などの大きな力がアキレス腱にかかります |
普通に歩行している状態ではアキレス腱にはあまり力がかかりません。
しかし、跳んだり、急に止まったりした時に大きな力がアキレス腱にかかります。ヒトの二足歩行では歩行時に大腿部前面の筋肉を主に使うので本来はアキレス腱についている筋肉は退化してもよかったはずです。ところがあまり退化していません。
そのためにアキレス腱を引っ張る下腿三頭筋が最大に収縮するとアキレス腱の強度を越えた力が腱に加わる可能性があります。
壁と机でストレッチ
アキレス腱断裂予防のためにはストレッチが大切です。しかし、急に競技に参加する事になりがちな運動会、当日にストレッチを十分にするのは不可能です。暦を見て当日1週間以上前からストレッチを始めましょう。アキレス腱のストレッチは前後に足を開く事が必要です。転倒防止のために肩まで手を上げて壁に手をつきましょう。この状態で前後に足を開きます。足の踵を上げずに前の足の膝を壁に近付ければ後ろの足のアキレス腱を延ばした状態です。数回繰り替えしたら前後の足を代えて同じ動作をしましょう。
適当な壁がない場合は事務机を使いましょう。机に両手をついて踵を上げずに片足を摺り足で後ろに引きます。次に足を代えて同じ動作をします。これだけでアキレス腱のストレッチになります。
なおハイヒールを履いている方は脱いだ状態でないとアキレス腱のストレッチはできません。
スキー靴でアキレス腱伸し!
アキレス腱のストレッチで裏ワザ的なのがスキー靴を使う方法です。スキー靴を持っている方はこの裏ワザを一度試してみましょう。スキー靴は履くだけで両足首を前傾した状態で固定して持続的にアキレス腱を伸ばした状態となります。(ただし履いた状態で家の中を歩き回るのは転倒の原因となるので控えましょう。)
お風呂で足首回し!
お風呂の時間を有効利用してストレッチをすることがオススメです |
骨折や捻挫で関節を固定すると固くなって動きが悪くなります。そんな時には温熱療法といって患部を暖めます。その直後、固くなった関節を他動的に動かします。家庭でできる簡単な温熱療法が入浴です。
浴槽の中で左膝を曲げて右足の腿の上に載せます。左足首内側を上から左手でつかみます。右手で左足先を持って左足首を伸してみましょう。次に足首を時計方向と逆方向に回してみましょう。足首が暖まっていると関節が柔らになっているのでストレッチで痛みを感じた人でも楽にできます。手を代えて反対の足首を回しましょう。足首回しはアキレス腱断裂の予防だけではなく足首の捻挫防止にも役立ちます。
足首回しは運動会の当日にも役立ちます。椅子に腰掛けて待つ状態でしたら片足を反対足の腿の上にのせて足首回しをしましょう。地面に座って待つ状態でしたら、あぐらを組む状態で片足ずつ足首回しをしましょう。
当日用のストレッチを練習しよう
運動会の会場だと適当な壁や机がみつからないですね。当日に備えて狭い場で可能なストレッチを練習しておきましょう。足を前後に少し開いて、踵を上げずに膝を曲げて殿部を後ろに開いた足の足首に近付けてみましょう。壁や机を使ってストレッチをした方はアキレス腱が伸びる感覚がわかるはずです。関連リンク