不妊症/不妊症の基礎知識・治療法・薬

毛髪ミネラル検査は不妊治療にも有効か

前回に続き、毛髪ミネラル検査の詳しい情報をお送り致します。

執筆者:池上 文尋

今回は前回に続き、毛髪検査について書いてまいります。特に産婦人科領域の質問をしておりますので、ご覧ください。

産婦人科で毛髪検査は有効?

毛髪検査
毛髪検査の分析器です。
Q)産婦人科領域ではどのような活用をされていますか?
A)産婦人科領域では、3つの活用がなされています。

1つは、妊婦様向けの活用です。ご存知のように、水銀、鉛、ヒ素などは母体を通して胎児に移行をし、胎児への悪影響が懸念されています。国立水俣病研究センターの研究成果によると母親の毛髪中水銀濃度と胎児の毛髪中水銀濃度は高い相関を示し、母体からの移行が明らかとなっています。

そこで、当社では、妊娠初期の妊婦様に検査を受検頂き、特に水銀の蓄積度判定し、蓄積が進んでいる場合は、栄養アドバイスを行い、体内水銀濃度を低減させるアドバイスを行っております。厚生労働省のデータでは、母体から胎児への水銀の移行は、胎盤の出来る4ヶ月以降となっておりますので、なるべく早い段階での水銀の体内蓄積を分析し、値に基づいた対処のための検査として使用して頂いております。

毛髪検査
分析結果をコンピューターで解析しています。
2つ目は、更年期の女性向けの活用です。更年期になりますと、ホルモンバランスの崩れから、不調を訴える女性が多くいらっしゃいます。通常の検査では、全く異常がなく、婦人科に行っても「検査異常なし」となってしまいます。そこで、当社のミネラルの検査を行うと、様々な異常が見られるケースがあり、サプリメントの処方や有害重金属の除去療法などに使用されるケースがございます。

3つ目は、不妊症治療の方向けの活用です。不妊の原因は、様々であると考えられていますが、いくつかの学術発表に、有害物質やミネラルと不妊との関連についての研究があります。例えば、鉛は、体内蓄積が進むと男性の精子数減少、精子運動の低下および形態の異常をもたらすという研究があり、タバコによる鉛の蓄積が原因ではとの見方もあります。

同様にセレン欠乏による生殖能の低下、マンガン欠乏による妊娠率低下、亜鉛欠乏による性機能不全など枚挙に暇がありません。しかしながら、これまで不妊治療の領域で有害ミネラルや必須ミネラルとの関連についての治療法はありませんでした。当社の技術が活用可能になり、徐々に不妊治療専門医院様での活用が進んでおります。

Q)不妊治療用検査として今後どのようにお考えですか?
毛髪検査
髪の毛を溶解液で溶かして分析します。
A)現在、不妊症とミネラルの関係についての研究を多くの産婦人科様と協力して進めております。この成果が来年早々には、出る予定ですので、何らかの相関が出た場合には、不妊治療用検査のスタンダート検査の一つになるかもしれません。当社としては、あくまでも科学的なアプローチを地道に進めて、全国の困っている患者様のお役に立てればと考えております。

次のページは不妊専門クリニックでの活用例についてのお話です。
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