A)製薬企業には基本的には責任はないと考えています。危険性については医者が患者さんに正確に伝える責任があります。しかし、製薬企業もできるだけ早く副作用の少ない新薬を開発していく必要性はあると思います。
患者さんは副作用の事は話してもまさか自分が副作用(多胎)になるとは思っていないので、なって初めてその重大さに気づくわけです。でもそこで医者が「最初話したでしょ」と突き放すわけにはいかないのです。でもそのような医者が多いのです。減数手術も認められるまでには多胎の場合は全員堕胎か全員出産という選択を迫っていたわけです。それも排卵誘発した施設でです。
普通は投薬した医療機関で副作用が起きた場合、その病院で副作用の治療を行います。しかし多胎の場合はそれができなかったのです。全部中絶をしてもいいのに、一部を残すのがなぜだめなのかという理不尽があったわけです。
Q)話は変わりますが、次世代の不妊のコンセプトは何を考えておられるのか?またその倫理について思うところを教えてください。
A)クローン技術の応用、ES細胞の活用、人工子宮の研究なんかに興味を持っております。また体細胞の減数分裂の研究もしてまいります。
これからくる時代に応じた不妊治療が必要になってくる。結婚の高年齢化が増えている事もその一つでしょう。
女性は子供を産まなければならない宿命だけれども、それを宿命といって終わらせていいのだろうか?今まで人間はその宿命を解消するべく科学を発展させてきたという経緯があります。だからその宿命・人類の課題に挑戦するべきだと思っています。
最近の女性は自分の目指している仕事をしたいからといって子供を作らないという人も増えており、そのような人が増えてくれば出生率が減って人類が滅びていくわけです。でも無理やり子供を生ませるというのは不条理だと思うのです。
女性から妊娠出産から解放させてあげることが男女平等につながると考えています。そういう意味からも人工子宮はメリットがあると考えております。でもかなりの時間がかかると思っていますが・・・。
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