6)今までの治療の問題点
採血ルームです。 |
そこで自然排卵の回避のためにGnRHアナログという薬剤が使われることが多いのですが、これは脳の下垂体を抑制することにより、ホルモンを枯渇させることが目的です。そして、ホルモンが出なくなったところでHMGを投与することにより、卵胞生育のコントロールをし、HCGで排卵のコントロールを行ってきたのです。
しかし、これが実は卵巣を痛めつけることになるので妊娠率がどんどん悪くなってしまうのです。医師側としては採卵をしやすいメリットがあるのですが、治療法が悪いので妊娠率は下がります。
治療法が悪いのに患者さんの身体が悪いと責任転嫁をしているクリニックがあるのは問題だと思います。
不良卵胞を作る理由はこれらの薬剤の大量投与による影響が大きいと考えています。通常、人間の卵巣では1周期に1個だけ卵胞が大きくなり、卵子が1つ排卵されます。これが自然な状態なのです。しかし、HMGの大量処方やHCGの高単位投与により、卵巣がダメージを受け、そのリズムが狂ってしまうのです。
じゃあなぜ多くのドクターがそのような治療を行っているのかというと昔の不妊治療の教科書が原因だと考えられます。昔からの投与法に固執しているのです。
特にHCGの投与においては5000単位や10000単位を3日おきに2~3回投与することが多いのですが、これが新規の卵子が出来てくる準備を障害していると考えられます。それはHCGの効果が持続して、前周期の古い卵胞がそのまま遺残しているからです。
7)遺残卵胞の消去法
カウンセリングルームです。 |
そこで開発したのが自然周期排卵法-単一胚移植法です。
昔から使われている排卵誘発剤であるクロミフェンを少量活用し、単一の卵を採卵、それを胚盤胞まで育てて、着床確率の高い形で移植をする方法です。
その治療を行う前に他のクリニックでさんざん治療を受けてきて、卵巣の状態の悪い患者さんに対しては遺残卵胞の消去法を実施しています。その流れは簡単に書くと下記の通りです。
完全自然周期採卵法で卵子の質を知る:卵子の状態把握
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不良卵子が取れた
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FSH調節(マ―ベロン)
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クロミフェン周期(3回)
次ページでは治療スケジュールや費用のお話をして頂きました。