不妊症/不妊の悩み・メンタルケア

不妊治療の中の離婚……夫婦の形を考える(2ページ目)

ドクターやナースを取材していると時々、ぽつりと話されることがあります。「不妊治療で来られている患者さん達、その背景には様々な人間模様があるんだよ」と。

執筆者:池上 文尋


不妊治療は夫婦を映し出す鏡

私はこの話を聞いて、どこにでも可能性のある話だなと感じてしまいました。不妊治療という1つの問題が日常の夫婦関係のひずみをあぶりだしてしまったと言うのが今回のケースなのだと思います。

不妊治療という1つの疾患の治療ですが、そこには夫婦間の考え方や生き方の価値観が詰まっていると言えます。そして共同作業でしか、なしえない家族の大きなプロジェクトとも言えます。

この部分をお互いに真剣に向き合うことは、場合によってはつらいことかもしれません。時間もお金もかかることかもしれません。しかし、この壁を乗り越えないと子供も夫婦の絆も未来の家族も得られないということです。

不妊治療
夫婦手を取り合って生きていくことがより重要な時代だと感じます。
今の世の中は競争社会だし、時間が最も価値を持つと言われています。でもかけがえのない家族を守るという意識がそれによって薄れてきているのも確かです。こういうケースに出くわすたびに不妊治療の意味、家族とは何?人生の意味とは?といった哲学的なテーマにぶち当たります。

今回のケースは単なる夫婦間の問題ですが、ここに両方の親や周りの干渉が関わってくることもあります。そういう環境による不妊へのプレッシャーや無知が影響する部分も少なからずあるのも事実です。

結婚される前の方、結婚されて間もない方など「あまり自分には関係ないわ」と思うのではなく、考えられる時に自分の身に置き換えて考えておくことは大事かなと思います。10組に1組は不妊患者の時代です。そして自分だけではなく、自分の周りに必ずこの問題で悩んだり、苦しむ人がいます。

不妊治療は単なる子供作りというだけではなく、様々な社会的な意味を持つものだと言えるのではないかと感じる今日この頃です。


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