実は今まで、多くの日本人がアメリカや韓国で代理母出産をしているのは、あまり明らかにはされていません。今回、向井さんはメディアを通じてカミングアウトされたので脚光を浴びた格好になっています。そこで、このコラムではその『代理母』についての解説を行っていきたいと思います。
代理母とはどのようなもの?
簡単に言うと不妊のカップルに代わり第三者の女性が子供を出産する方法です。2つタイプがあり、【子宮を失うなどした女性に代わってカップルの受精卵を妊娠・出産してもらう方法】と、【女性の卵子、子宮ともに問題があり、カップルの男性の精子を第三者の女性に人工授精し妊娠・出産してもらう方法】があります。
今回の向井亜紀さんのケースは子宮頚ガンによる子宮全摘で、ご自身の卵巣からの卵子は採取できるので、前者にあたります。また、昨年大きな話題となった長野県の諏訪マタニティクリニック根津先生のケースも前者のパターンと明記されています。
アメリカでは両方のパターンが可能であり、法律や制度も州によって整備されておりビジネス化が進んでいる状況です。
代理母に関連する問題
じゃあ、今までなぜかなりの数がいるのに代理母がクローズアップされてこなかったのでしょうか? それは妊娠中絶やこのような代理母といった産婦人科関連の情報を出来るだけ秘密にする国民性によるものが大きいと考えています。
向井亜紀さんのカミングアウトはそういう意味においても重要で、「代理母というものが日本でも必要な人がいて、その人達のことも考えてほしい」というメッセージを送っている点が、人間的な器の大きさを感じる次第です。
さて代理母にまつわる問題は色々とあります。例えば、法律上の問題(後ほど詳しく説明します)、代理母の身体上の問題、倫理的な問題、また子供がちゃんと生まれてきたらいいけれど、何か疾患や奇形を持って生まれてきた場合の問題など詳細にわたっての検討が必要とされています。
実際、アメリカでもトラブルは多く起きているようです。よって代理母を考える時にはまずはこの問題をクリアーにしていくことが大事となります。(次のページに続く)