漫然と行う手洗いは効果が小さい

洗い残しに注意
指先が青く光っているところが洗い残しの部位です。多くの方で利き手の爪の部分に洗い残しが目立ちました
手洗いの基本は「手首から指先にかけて汚れを移動させるような感覚で洗い、同じようにしっかりと水気をふき取ること」です。手首からはじめて指先にかけてぬぐい落とすようにしてください。

さて、手洗いに関連して年末のガイドメールマガジン第24号でも予告しましたが、まずは右上の写真を見てください。これは医療機関での感染症対策教育に用いられることもある、手洗いが十分に行えたのかを確認する機材です。
  1. ざっと水洗いして蛍光ローションをつける
  2. 石鹸でしっかりと手洗いをする
  3. 水気をしっかりとふき取る
  4. 紫外線ランプで蛍光ローションが残っていないか確認する
職員や一般の患者さんなどにも試していただきましたが、多くの方で利き手の爪に洗い残しが目立つという現象が見られました。予め「手洗いが十分に行えるかを確認するため」と説明してから手を洗っていただきましたので、ゴシゴシと念入りに洗っていただいたのですが、それでもこのように洗い残してしまうことがあります。わずかな部分ではあるのですが、感染性胃腸炎として知られるノロウイルスは、こうした洗い残しにごくわずかな量(※)付着しても感染してしまう可能性もあります。

(※)医療従事者向け情報ですが、10コピー程度でも感染が成立するとも言われています。

ですから、洗い残しやすい部分である爪の両脇・爪と肉の間・指と指の間・手のしわなど、凹凸(おうとつ)がある箇所を意識的に、できるだけ頻回に洗うことが大切です。こうした手洗いやうがいの際に消毒薬を用いるべきかどうか、最後に触れておきたいと思います。


手洗いで大切なのは消毒ではない?

うがいについては、これまでにも記事やガイドメールマガジンでもご紹介したことがありますが、風邪の予防という意味では消毒薬を使用しなくても十分という説があります。これは、健康な人の口の中や皮膚の表面には様々な雑菌が常に付着しているのですが、これらの常在菌群(Normal flora:ノーマル・フローラ)と呼ばれる菌はそれだけで感染を起こすことなく、一定の均衡状態を保っているのです。

いわば人間と共存している格好ですが、消毒薬によってこうした常在菌までをも殺菌すると均衡状態が崩れてしまい、ここぞとばかりにウイルスも侵入しやすくなるのではないかということなのです。あくまでも一説ですが、感染を起こす前の予防という意味では、消毒薬は必要なく水道水だけでも十分かもしれません(ここでは「予防のため」という意味ですので、感染が成立して明らかな炎症が生じた場合には消毒薬も必要になることがあります)。


人間の手にも常在菌は存在しますが、こちらはすでに皮膚によっても病原体から守られているため、消毒薬や石鹸を使って常在菌を失ってしまっても悪影響を与える心配はありません。ただし、石鹸は使用するだけで消毒(殺菌)ができるとは考えず、粘り気によって病原体を少しでも落としやすくすること、まんべんなく手につけて洗い残さないよう確認することが目的と考えてください。


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