【女性は虫垂炎を疑がったら早めの受診を】
虫垂炎の教科書的な症状は、熱発と腹痛→下腹部痛→右下腹部痛→マクバーニーの圧痛点の痛み(おへそと右前上腸骨棘を結ぶ線上の外側1/3の位置)です。
病院では、血液中の白血球、特に好中球数(細菌と戦う白血球)を重要視します。また各種画像検査(X線,超音波など)も参考にします。
ただ、腹痛が典型的でないとなかなか確定診断がつかないことがあります。
特に若い女性の場合は、右の卵巣疾患、右卵管の子宮外妊娠などとの鑑別が必要なので、早めの受診を勧めます。
【虫垂炎の治療】
虫垂炎の治療方法は手術による切除が基本です。
俗に散らすといって、強力(いろいろな菌に有効かつ殺菌力のある)な抗生物質を投与する治療方法があります。一時凌ぎにはなりますが、一度炎症を起こした虫垂は炎症が治まっても肥大します。また癒着と言って、回りの組織とくっつきやすくなります。肥大と癒着が強くなると手術が難しくなってしまいます。
仏の顔と同じで、何度散らすことができるかは、個々の患者さんで異なります。何れにせよ時期をみて手術すべきだと考えます。
手術方法には、従来の方法と腹腔鏡手術があります。腹腔鏡手術は、お腹に複数の穴をあけて、内視鏡(光ファイバーで患部を直接見る装置)などを穴から入れて操作を行う手術です。ただ、虫垂炎の手術に腹腔鏡手術を使うべきかについては、意見が分れています。
というのも、腹腔鏡手術全般にいえることですが、歴史が浅いために、手術の適応(腹腔鏡手術をすべきかどうか)、手術の合併症を含む危険性(手術中の死亡例があります)についての結論が出るためには、かなりの年月が必要だからです。