オリンピック

夏季五輪開催年になるたびに流行した異型肺炎。「オリンピック病」と呼ばれるのはそのためです

異型肺炎の多くを占める「マイコプラズマ肺炎」。以前は4年ごとの夏季五輪の年に流行することが多かったため、「オリンピック病」と呼ばれることもあります。もちろん、五輪の開催が流行に影響したわけではありません。開催年と流行年がたまたま重なり続けただけです。

最近では、以前ほど4年ごとの周期性が見られなくなってきているようです。

オリンピック病の原因の多くは「マイコプラズマ」

オリンピック病とも呼ばれる「異型肺炎」は、肺炎球菌以外が原因でおこる肺炎の総称です。その中の原因でも最も多いのが「マイコプラズマ」。

普通の肺炎は高齢者に多い傾向がありますが、マイコプラズマ肺炎は集団生活を送っている幼稚園から大学までの世代の肺炎の原因としては最も多いものです。

ちなみに、高齢者に多い典型的な肺炎は、肺炎球菌という細菌が原因で起こります。高熱と咳が出て、場合によって死にいたる事があります。詳しくは「肺炎球菌ワクチン」についての記事もご覧ください。


マイコプラズマ肺炎とは

最近流行りの遺伝子からみると、マイコプラズマは遺伝子数が最も少ない生物だといえます。マイコプラズマはウイルスでもなく、細菌でもない微生物です。ウイルスは生きた細胞がないと増殖できませんが、マイコプラズマは培養液中で増殖させることが可能です。

細菌にはペニシリンが合成を妨害する事が可能な細胞壁がありますが、マイコプラズマには、この細胞壁がありません。このためにマイコプラズマには肺炎球菌に有効なペニシリンが無効です。

肺炎を起こすマイコプラズマとは別に、尿道炎を起こすマイコプラズマもいます。


どんな時にマイコプラズマ肺炎を疑うの? 主な症状・診断基準

咳をする男
微熱としつこい咳がなかなか治らないとき…マイコプラズマ肺炎(オリンピック病)を疑いましょう
気道感染(呼吸器感染)の症状は共通しています。発熱とくしゃみ、鼻水、咳などの気道の炎症です。ですからこの病気ならではの特徴的な症状というものはありません。

マイコプラズマ肺炎では発熱は高熱のこともありますが微熱が続くことが多いです。咳が数週間続くのも特徴です。夜間や就寝して咳が強くなり、あまり咳が続くので喘息発作と間違えることもあります。

微熱としつこい咳が数週間続いて、なかなか治らない時はマイコプラズマ肺炎を疑いましょう。

胸部のX線写真を撮ると、スリガラス様といわれる特徴的な画像を示します。そのため胸部のX線で診断がつくことが多いです。

微生物だから培養すればわかるのではと考えがちですが、専用培地を使って一週間程度の培養時間が必要です。

免疫反応による血液中の抗体価の測定は、抗体が上昇するのに一ヵ月程度かかるので場合によっては、治った頃に判明する事になります。抗体の測定には日本でも迅速診断キットが使用できます。

欧州ではマイコプラズマの病原体(抗原)をインフルエンザのように迅速に検査するキットが発売されています。日本でも早く発売されると良いですね。


マイコプラズマ肺炎の予防法・治療法

マイコプラズマ肺炎は致命的な病気ではなく、抗生物質も有効なので予防注射はありません。

予防方法は気道からの感染なのでインフルエンザと同じです。インフルエンザと同じ飛沫感染(咳からの感染)なのでマスクが有効な手段ですが、暑い夏にマスクの使用は辛いですね。飛沫感染には手洗いが有効なので、手洗い回数を増やしましょう。

自然治癒する傾向が強いですが、咳は不眠の原因になります。長期に咳をしていると肋間筋の痛みを覚えます。積極的に治療するには細胞壁がない微生物にも有効な抗生物質(マクロライド系・テトラサイクリン系・ニューキノロン系)を経口投与します。

詳しくは「マイコプラズマ肺炎の症状・治療・予防法」「自然免疫力は測定できるの? 肺炎球菌ワクチン接種を高齢者に」もあわせてご覧ください。


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