耳・鼻・喉の病気/その他の耳の病気

社会難聴 その背景に潜む問題は?(2ページ目)

聴力は20才をピークに衰えていくと言われています。ところが、世界には生涯優れた聴力を維持できる民族も知られています。先進国ならではの問題点、社会難聴について考えてみませんか?

執筆者:吉國 友和

異常を発見する簡単な聴力検査の方法とは?

電話
普段と違う手で受話器を持ってみてください。左右とも同じように聞こえますか?
耳の聞こえが正常かどうか、本来は機械によって判定する必要があります。しかし、健康診断や耳鼻科を受診する以外には測定する機会もないのではないでしょうか? 片方の耳に異常がある場合、次の方法で偶然に病気が見つかった方もいらっしゃいます。

電話で話すとき、いつもと違う手に受話器を持ち替えてみてください。もし、反対にしたときに聞こえが悪いようであれば、加齢によるものではない難聴が存在する疑いがあります。ただし、軽微な聴力低下や、加齢現象も含めて両耳に同じ程度の聴力低下をきたす病気・状況が存在する場合には電話だけでは判定はできません。逆に電話で気づくぐらいの聴力低下では、思わぬ病気が潜んでいることもありますので、その場合には必ず耳鼻科を受診してください(実際に電話をきっかけに聴神経腫瘍が見つかった患者さんもいらっしゃいました)。


音叉(おんさ)で難聴の原因分類

音叉
音楽を嗜(たしな)む人にはお馴染みの音叉、500円ぐらいで入手できます
さて、仮にどちらか片方の耳に難聴が存在する場合、本来の聴力検査は機械がないと行うことができませんが、前ページの伝音性難聴、感音性難聴を見分けるための方法として、実際の臨床でも用いられる方法の1つにWeber(ウェーバー)検査があります。この検査法は、両方の耳に同時に難聴がある場合には原因を区別することはできませんが、方法はごく簡単です。
  1. 音叉を鳴らす
  2. 音を鳴らしたまま、おでこの中央に当てる
左右の聴力がほぼ同じであれば、音叉の音は左右同じように、頭全体に響くように聞こえます。仮に、右に大きく聞こえる場合、右耳の伝音性難聴、もしくは左耳の感音性難聴が存在することが疑われます。


次のページでは加齢現象による聴力低下の特徴をご説明します。
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