耳・鼻・喉の病気/その他の耳の病気

社会難聴 その背景に潜む問題は?

聴力は20才をピークに衰えていくと言われています。ところが、世界には生涯優れた聴力を維持できる民族も知られています。先進国ならではの問題点、社会難聴について考えてみませんか?

執筆者:吉國 友和

50代前後から始まる加齢現象の1つに耳の聞こえが悪くなる「難聴」があります。年齢のためだから……と放置されている方も多くいらっしゃいますが、コミュニケーション能力が低下してしまうと、他の病気の治療にも大きな影響を与えることがあります。


耳のつくりを知ることで理解を深めましょう

耳
耳の構造を模式図に示すとこのようになります。体の外側から外耳・中耳・内耳と呼ばれます
まず用語の整理のために、簡単に耳の解剖学についてご説明します。耳は非常に複雑な器官ですので、ごく端的な説明となりますが、大きく外耳・中耳・内耳に分けられます。
  • 外耳(がいじ)……「耳」から鼓膜まで、つまり耳掃除ができる範囲です(注意:鼓膜は中耳に含まれます)
  • 中耳(ちゅうじ)……中耳炎というのはこの部位に生じる炎症です。鼓膜からツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨などの耳小骨と、これらに付着する筋肉があります。耳管もこの部位に開いています
  • 内耳(ないじ)……カタツムリの殻のような蝸牛・3つの半規管など、音の伝えだけでなく体の向きや加速度も感じ取る機能を有します
細かい用語まで理解するのは難しいですが、耳の構造は外側から内側にむかって、外耳・中耳・内耳と分けられることを覚えておいてください。


聞こえの悪さ その原因部位は?

聞こえの悪さを「難聴」と表現しますが、原因となる部位によって「伝音性難聴」と「感音性難聴」に大きく分類されます。伝音性難聴は、文字通り外部の音を伝えるための部位である外耳(耳の穴から鼓膜まで)と中耳(鼓膜から)までです。ごく簡単な例としては、片方の耳に指をいれた時の状態です。

一方、内耳にまで音は伝わっているのに音が聞こえない、という状況があります。これが感音性難聴です。加齢現象や騒音、聴神経の腫瘍などによる聞こえの悪さもこの分類に含まれます。なお、感音性難聴は更に内耳性・後迷路性難聴に分けられるのですが、難しくなってしまいますので今回は省略します。

さて、ここからが本題となります。これまでの内容を理解できていると興味深く読んでいただけると思いますので、このページの内容と次のページの内容を照らし合わせてお読みください。


次のページでは難聴の有無、原因をみわけるための簡単な方法をご紹介します。
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