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人間ドックで調べておきたい臓器トップ3!(2ページ目)

人間ドックは全身を綿密に調べることで、病気の早期発見・治療につなげるものです。近年では、医療機器の進歩から、特定の臓器を対象にした人間ドックも行われるようになりました。

執筆者:吉國 友和

脳ドックの特徴

Computed Tomography
CT検査は非常に有用ですが、この検査にも苦手な病気があります
脳の病気はCT検査だけで見つかるとは限りません。その反対に、より精密といわれるMR検査(MRI)であっても、かくれた病気を見つけることが難しいこともあります。脳ドックは、それぞれの検査を組み合わせることで欠点を補い合い、より早期に脳内に潜んだ病気を見つけ出すことが目的です。

この検査を一番にお勧めする理由は、突然死にもつながることのある脳血管障害を予防するためです。例えば脳卒中の1つであるクモ膜下出血(SAH:ザー)の原因には、動脈瘤(どうみゃくりゅう)という血管の壁が膨らんで脆くなった病変が存在することがあります。動脈瘤を先天的に持っている人も多く、加齢とともに血圧が上昇してくると、動脈瘤の壁が圧力の負荷に耐え切れずに破裂する危険が高くなってしまうのです。

動脈瘤が早期に発見された場合、大きさや部位によって破裂の予防方法を検討することができます。代表的なのは、開頭術によるクリッピング(クリップで動脈瘤の付け根をクリップ)、あるいは血管カテーテルで動脈瘤の中にたくさんの小さなコイルを詰め込んで出血させないようにするコイリングといった手技です。


この他、脳ドックのオプション項目に、頚動脈のエコー検査が行われることがあります。首にある頚動脈の動脈硬化度を測定することで、脳梗塞を発症する危険性を調べることが目的です。高血圧や高脂血症、あるいは糖尿病などの生活習慣病を持病にしている人は、この項目だけでもお勧めです。


心臓MR検査のメリット

50代から多くみられる心臓疾患として、虚血性心疾患や弁膜症、あるいは不整脈があります。中でも突然死に直結する虚血性心疾患、つまり狭心症や心筋梗塞は、心臓に栄養を与える3本の血管(冠動脈:かんどうみゃく)のうち、いずれかが狭くなった(狭心症)、あるいは完全に詰まってしまった(心筋梗塞)状態です。

冠動脈がどのぐらい細くなっているのかは、心電図や心臓エコー検査だけではわかりません。入院の上、腕や足からカテーテルを挿入して、造影剤を流すことで初めて血管の内部の性状(せいじょう)を知ることができます。ところが、この検査を行う場合、カテーテル検査によって血管の壁に傷をつけてしまったり、あるいは造影剤によって腎不全に陥ったりするという、合併症の危険性もごく稀ですがあります。

これに対して、最新のMR検査(心臓MRI検査)では体に負担をかけることなく、冠動脈の太さを調べることが可能になりました。もし、この検査を行って放置すると心筋梗塞の危険性が高いと判断されれば、その時初めて心臓カテーテル検査を検討すればよいのです。

すべての医療機関で行っている検査法ではありませんが、これからの人間ドックに追加したい項目の1つです。


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