メタボが招く低体温!?
健康な人では睡眠中に体温が下がります |
これに対して、病的な低体温の代表例は溺水、冬山での遭難、酩酊したときに路上で眠ってしまう、大型冷凍庫に閉じ込められる(事故)といった特殊な環境下で生じることがほとんどです。こうした環境にさらされていなくても低体温となるのは、神経性食思不振症(拒食症)や過度のダイエットによって体のエネルギー不足が原因であることや、特に中高年以降では甲状腺ホルモン低下症という病気が存在することがあります。甲状腺ホルモンが低下すると、便秘やむくみが見られたり、活気がなくなったり、時にはうつ病と思われたりすることさえあります。
ところが、最近はこうした病気がないにも関わらず、「平熱が低い」という方も時々いらっしゃいます。そのような方の中で最も注意していただきたいのは、肥満(皮下脂肪の増大)によって深部体温は正常なのに皮膚表面には温度が伝わらず、見かけ上の低体温となっているときです。肥満の代名詞とも言うべきメタボリック症候群が増えると、それにつれて低体温になる人も増えてくるかもしれませんね。
なお、女性のほうが皮膚表面の体温が低いのは、この皮下脂肪のためとも言われています。寒冷地では外気温に熱を奪われにくく、体温を作り出すためのエネルギーを節約できることから、生物学的には女性のほうが優れているとも言われています。
低体温にならないための対策
まずは糖質を中心とした十分なエネルギー摂取、十分かつ良質な日中の適度な運動によって体温調節機能を整えることが大切です。季節を問わない食生活の変化(例えば寒い季節にもアイスクリームを食べること)、エネルギー源となる糖質の代表であるお米の消費量がずいぶんと少なくなっていること、忘れられつつある言葉ですがいわゆる環境ホルモン「内分泌かく乱物質」も人間の体温に影響しているのかもしれません。低体温はそのことによって健康に害が生じるというよりも、何らかの前兆として低体温が生じているとも考えられます。改善策としてまずは身近なところから、例えば決まった時間に毎日きちんと朝食をとることを心がけてみてください。なお、体温についての補足ですが、入浴時には体温が一時的に上昇した後に急速に下がります。最も急激に体温が下がるときに眠気を催しますので、入浴後20~30分すると寝つきが良い時間帯になります。寝つきが悪くてお悩みの方は、入浴後に体温が低下する時間帯を逃さずに布団に入るようにしてみてください。
【関連リンク】
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