「老後」。あまり考えたくないことですが、シングルにもディンクスにも、男性にも女性にもやがて訪れるライフイベントです。老後の課題は、今と変わらぬ生活を送ることができるだろうかという点ではないでしょうか。「衣・食・住」というように、生活をする上では、住む場所の確保、それも長く快適に暮らせる住空間の確保は重要な問題です。
今回は、「住」としてのマンション購入と、それに関わる「お金」を『生涯収入』という観点から考えてみます。
あなたの現在の年収はいくらですか?
月給や年収、ちゃんと把握していますか。意識していないと、あっという間になくなりますね。 |
あなたの昨年の年収はいくらでしたか。今年はどれくらいになりそうですか。収入と言っても形は様々です。お勤めの方は、お給料が収入となりますが、個人事業主の方は、事業によるものが収入となります。そしてこれら収入の中には、あなたの収入ではあるけれど、自分では自由に使えないお金があります。
額面収入と手取り収入
「自分で自由に使えないお金」、それは収入のうち、社会保険料や税金に充てられるお金です。 社会保険料とは、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料などです。収入からこれらの社会保険料と税金を引き算すると、あなたが自由に使えるお金が計算できます。これを手取り収入、または可処分所得と言います。
■手取り収入=額面収入―(社会保険料+税金)
マンションの販売センターを訪れると、担当者に「ご年収は?」などと聞かれますが、額面収入と手取り収入のどちらを聞いているのか、よく確認しましょう。また、住宅ローンを利用する場合は、この額面収入を基準に「貸す、貸さない」、「いくらなら貸す、貸さない」が判断されます。ところが、実際にあなたが住宅ローンを返済するのは、手取り収入の中からとなりますので、返済計画を立てる際は、手取り収入の金額をもとに支出を考える必要があります。
“予算”という考え方
小学校1年生の頃でしたでしょうか、お年玉をもらった際、凧を買って、ノートを買って、とアレコレ考えを巡らせたことを思い出します。当然のことながら、欲しいものがあってもお年玉の金額以上のものは買うことはできませんでした。予算が明確であったと言えます。今の私たちはどうでしょう、クレジットカードやローンなどを利用して、手元のお金以上の商品やサービスを手にすることができます。本人に対する信用をクレジットに借金が可能なのです。
マンションを購入する場合、大方は住宅ローンという借金を利用します。現在、手元に400万円しかなくても、あなたに信用が付けば住宅ローンを利用し、4000万円のマンションだって購入できます。が、これは実に危険です。
例えば、600万円の頭金と2700万円の住宅ローンで、3300万円のマンションを購入したとしましょう。住宅金融公庫の新型住宅ローンを利用し、2.87%の固定金利で35年間、ボーナス払い無しの返済計画で試算すると、毎月の返済額は、10万1,960円となります。いかがでしょう。今の家賃とそんなに大差なし、でしょうか?
「毎月の家賃と同額のローン支払いなら買える」と判断することは、理にかなっているようで、実はこれも危険をはらんでいます。
なぜ危険なのかは、次ページで解説いたします。