納豆は血を固まりやすくするから食べないほうがいいの?
納豆は血を固める? |
血管の中の壁(血管内皮)が何らかの形で傷つくと、そこを修復しようとして糊のようなかさぶたができます。このかさぶたを作るために必要なのが血液中に微量に含まれる凝固因子という十数種類の成分です。この凝固因子のいくつかを作るのに必要なのがビタミンKです。
「かさぶたを作るって血がつまるってこと?なんか、それってイメージが悪そう・・・・」とお考えになる方もいらっしゃると思いますが、実はこれ、人間が生きてゆくために必要な機能。もし、こういう作用が人間に備わっていなかったら、それこそずっと血が止まらないで困ってしまいますよね。
一例を挙げます。ビタミンKが足りないと起こる病気に新生児の出血性疾患があります。特に母乳で育てるとビタミンKが不足する傾向があるので、通常、新生児には予防のためにビタミンKを注射します。
ところが、脳梗塞や心筋梗塞など、血が固まって血管がつまる病気になった方に処方されるお薬に「ワーファリン」という薬があります。これはビタミンKの働きを抑えて、血液を固まりにくくします。つまりワーファリンを飲んでいるヒトが納豆を食べると、ワーファリンの作用が弱まります。そこで、「ワーファリンを飲んでいるヒトは納豆を控えてください」と言われます。
ここで「納豆はビタミンKが豊富で、血を固めないワーファリンの作用を邪魔する。だから食べると血液が固まりやすくなる」という誤解が生じたようです。
でも、最初にご説明したように、凝固因子は十数種類。そのうちビタミンKが関与するのはその中の4つに過ぎません。ビタミンKが足りなければ、かさぶたの原材料が不足するので血液は固まりにくくなりますが、ビタミンKだけが増えても、その他のものとのバランスがあるので、血が固まりやすくなるわけではないと考えられます。人間の体はかなり複雑なのです。
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