「姓名判断は信用しない!」と言うご主人
夫婦でじっくり名づけを相談しよう
あるデパートでの名づけ相談にご夫婦が来られました。奥様は字画占いに多少興味があって、いろいろ字画に関する質問もしましたが、どうしても字画を合わせたいというほどのこだわりもないと言われました。
ところがそのうちご主人のほうが、「姓名判断なんて俺は信用してないからな」と言い始めました。そしてだんだんと声が大きくなり、やがてマタニティ売場全体に響くような声で、「字画で生き方が決まるわけねえよ」「そんな統計があるなら出して見せりゃいいんだ」「人間は自分の意志と努力が大事なんだ」などと、話がつきなくなりました。占いに対して何かよほど悪い印象があったのかもしれません。
私はご主人の言われることはごもっともだと思いましたので、「おっしゃる通り、統計的な根拠はありません」「占いを信じる、信じないはご自由です」と相づちを続け、奥様には「ご主人の意見は正しいと思いますよ」と申しあげました。
専門家としての意見は、「姓名判断には根拠がない」
そのご夫婦は最後にいくつか資料を受け取って帰られました。そのあと売場の担当者が私の所に飛んできて、「今のお客さん、大変だったですか?」と聞きました。どうやら遠くから見ていて、私が文句をつけられてどなられているように見えたらしいのです。私は「いや、あの方は私と同じ意見をしゃべっていたんですよ」と言いましたら、「ああ、そうなんですか」と少しけげんな様子でした。
占いを信じるかどうかは個人の自由で、名づけの時に字画を気にするのもしないも自由です。名づけ相談では、お客様の希望があれば、字画の合う名前のリストも提供します。しかし「姓名判断に根拠はありますか?」と聞かれたら、名前の専門家としては「無いです」とお答えするしかありません。でも相談に来られたお客様自身がその答をしゃべることはめずらしく、しかもふだんなかなか言いにくいことまで大声で全部言ってくださったので、私もすっきりした気分になりました。