大学生の就職活動/就職活動での自己分析

就職活動での自己分析

「自己分析」とは、自らが進むべき道を意志決定する指針や手掛かり探す作業を指す。方法は3つ、「過去を分析する」「現在の分析する」「未来を分析する」である。自らの可能性を拡げる自己分析を心掛けよう。

執筆者:見舘 好隆

<INDEX>
  1. 自己分析とは
  2. 過去を分析する
  3. 現在を分析する
  4. 未来を分析する

自己分析とは?

就職活動における「自己分析」とは、就職活動において自らが進むべき道(志望業界や企業、仕事など)を意志決定する指針や手掛かりを、今までの自分や、現在の自分、そして将来の自分を内省したり、省察したり、仮説を立てて確かめたりする作業を指す。

数え切れない企業や仕事が存在する以上、指針や手掛かりなしに自らが進むべき道を意思決定することは非常に困難であり、就職活動を進めることもできなくなる。よって、就職活動を始める前の第一歩として位置付けられることが多い。

シャインの3つの問い
シャインの3つの問いに、君は答えられるか?
自分の将来を意思決定する指針や手掛かりとは何か。マサチューセッツ工科大学のエドガー・シャイン教授(『キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう』エドガー・シャイン・著、金井壽宏・翻訳より加筆)が定義した「3つの問い」が参考になる。

  1. 何ができるか?
    能力・才能・できること。言い換えると、「何が得意か? 大学時代に何を身につけたか?」
  2. 何をやりたいか?
    動機・欲求・好きなこと。言い換えると、「何をやっているときに時間を忘れるくらい没頭できるか?」
  3. 何をすべきか?
    価値観・信条・こだわりなど。言い換えると、「何をやっているときに意味を感じ、社会に役立っていると実感できるか?」


この「シャインの3つの問い」の3つの答えが重なるところが、自分にとっての理想の企業や仕事であろう。しかしながら大学生である以上、まだ未発達であり、就職活動中はもちろん入社してからも3つの問いの答えは変化することを考慮すべきである。つまり、「何ができるか」と言ってもまだ働いていないうちに限定するのはどうだろうか。「何をやりたいか」と言っても、まだやっていないことがたくさんあるうちに限定するのはどうだろうか。「何をすべきか」と言っても、まだ言葉にするにはまだ経験も語彙も不足しているだろう。よって、あくまでも理想の企業や仕事を探す「指針・手掛かり」に留めることを忘れてはならない。

過去を分析する

ライフライン
筆者のライフラインの例
自己分析には、過去・現在・未来がある。どれから始めても良いが、比較的簡単な過去を分析する方法を記す。文字通り、自らの過去を振り返り、「何ができるか・やりたいか・すべきか」を考える作業である。

過去を振り返るツールは様々あるが、ここでは「ライフライン」を紹介する。作成方法は以下である。

  1. 白い紙の中心に、左から右へ矢印を引き、左を過去、右を現在とする
  2. 成功したなど気持ちが高まった時を「+」、逆に失敗して気持ちが落ち込んだ時を「△」と書いていく
  3. その印を繋いでいく。
    *上の図は私の例。高校時代から大学3年生までの期間を記入

高まった時、もしくは落ち込んだ時が、自分のキャリアにおける「轍(わだち)」であり、そこに自らの成長を説明するエピソードがある。特に失敗した時に、どのように克服したのか。そのエピソードに君の「できること」が秘められている。克服したからこそ「やりたいこと」が見つかったかもしれない。そして君が将来仕事を通して「すべきこと」が込められているかもしれない。

まずは過去を振り返ってみることから始めてみよう。

現在を分析する

適性検査
現在の自分を知るための手掛かりとして活用しよう
現在を分析する。すなわち、今、自分にどんな特性があるかを精査してみよう。

現在を分析するツールは様々あるが、ここでは「適性検査」を紹介する。中でも最もよくつかわれているテストのひとつが、R-CAPやキャリアマトリックスなどの「適職テスト」である。

キャリアマトリックス」は労働政策研究・研修機構が提供する、職業とキャリアに関する総合情報システムである。「適職探索ナビ」を是非活用しよう。「興味」や「ワークスタイル」などから、自分に向いた職業を探索することが可能である。ネットで無料でトライできるので、まずやってみよう。

R-CAP」は株式会社リアセックが提供する、自己分析・適職発見プログラムである。活用方法は「就活シーン別 R-CAP活用術 虎の巻」にまとめられている。過去の受検者のデータが蓄積され、カルテも充実しており、自分の「心の癖」もわかって、いろいろ気付きがあるだろう。基本有料だが、大学の就職課やキャリアセンターなど、無料、もしくは格安で受検できる場合もあるので、まずは問い合わせてみよう。

しかし、いずれもコンピュータが判断した「適職」であり鵜呑みにしてはいけない。あくまでも自己分析する上の「ヒント」「手掛かり」としてのみ活用しよう。

未来を分析する

インターンシップ
インターンシップは、アルバイトではなかなかできない仕事を試してみることができるよ
今、想像もつかない仕事が将来の君にピッタリかもしれない。逆に、今やりたいと考えている仕事が将来の君にまったく合わないかもしれない。

自分の未来を分析するなんて、不可能と考えるのが普通だろう。しかし、一つだけ方法がある。それは「やってみる」ことだ。やってみて、本当ににそれがやってみたいことか感じてみることだ。

「やってみる」にはどうすればいいか。まず思いつくのが、「アルバイト」や「インターンシップ」である。新聞社でも、テレビ局でも、広告代理店でも、旅行会社でも、じっくり探せば可能性はゼロではない。国家公務員や地方公務員はもちろん、国会議員だってあるし、農業や漁業、林業だってあるぞ。日本になければ、休学してワーキングホリデーに行く手もある。

もちろん、どれだけ探してもアルバイトやインターンシップが見つからない仕事もあるだろう。そんな時は「会社訪問」「先輩訪問」が有益な方法となる。働くことはできなくても職場を見ることで想像することはできる。実際に働いている人から本音を訊くことで、働く自分を想像することはできるはずだ。

本来、君の可能性は無限なはず。過去や現在だけ分析するのはもったいない。君の未来への可能性を広げるためにも、未来を分析することを忘れてはならない。
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