在宅ワークとして長い歴史のある仕事

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安定したニーズのある在宅ワーク「文字起こし」


文字起こし(音声・テープ起こし)という職業は、もとは速記からスタートした仕事で、インターネットが普及する前より、在宅ワークとして仕事が行われてきた職種です。今回お話を伺った、文字起こし活用推進協議会理事であり、『国語好きを活かして在宅ワーク・副業を始める 文字起こし&テープ起こし即戦力ドリル』著者でもある廿里美(にじゅう・さとみ)氏は文字起こし歴17年のベテラン。文字起こしという職業について様々な角度からお話を伺いました。

■文字起こし

文字起こしとはどんな仕事か?

「文字起こし」とは、音声の内容を聞きながら文字化する仕事です。「テープ起こし」と呼ばれることもありますが、今ではテープレコーダーを使用する案件は少なく、大半がICレコーダーなどに録音されたデジタルデータをパソコンに取り組んで作業を行います。

具体的にお話しすると、雑誌などにインタビューや対談の記事が載っていますよね。私たちが録画された映像から音声を起こし、それをもとにライターが記事として仕上げているケースが多いのです。最近では大容量のデータがインターネット間で送れるようになったために、音声ではなくビデオで録画された映像データを見ながらの文字起こしを行う作業もあります。

また、仕事・プライベートにかかわらず、YouTube(R)などの映像から文字を起こすといった用途も増えました。企業が広告や活動報告などで動画をYouTube(R)にアップするものの解説や字幕にする、といった用途です。ICレコーダーのみならず、スマートフォンでも録音・録画機能がついたことにより、さまざまな活用方法が広がってきました。文字起こしは、ますます身近な作業になっています。

実際の文字起こしのやり方

では、どのように文字に起こしていくのでしょう。元の音声は話者の話し方の特徴によって「あのー」「私はですね」「えーと」などと、余計な言葉が多く入っていることが普通です。こうしたものを省き、整理しながら文字にしていきます。通常はパソコン入力ですから、言葉を正確に聞き取る力と同時にキーボード入力のスキルも必要です。

文字起こしでは、一人で60分の音声を起こす場合もありますが、納期などの問題からデータを分割して複数人で作業を進めることも多くあります。文字にするにあたってはクライアントごとのルール(仕様)に基づきます。この仕様には「新聞表記」「速記表記」などの種類がありますので、ぜひ勉強してみてください。

私(廿氏)が問題制作部会の一員として関わっている「文字起こし技能テスト」には音声付きの例題が出ています。無料ですので興味のある方はぜひ試してみてください。
→ 文字起こし技能テスト 例題

音声データの内容や種類は?

音声の内容は、講演会・会議・株主総会・行政の審議会など、本当に様々です。専門用語が頻出することも多く、録音状態が悪い音声もあります。また、医学学会など、高度な専門用語が続出する内容もあります。私は「日本人が日本語を聞いて再現するのだからカンタンでしょ!」と思って始めたのですが、そんなに甘くはありませんでした。でも、難しさがある分、やりがいもあります。

大半はICレコーダーで録音された音声ファイルをパソコン上で作業しますが、今でもカセットテープで録音された音声もあります。私はカセットテープを受け取った場合もそれをパソコンに取り込んで音声ファイルに変換しています。音声ファイルならインターネット経由で簡単に受け渡しできます。遠方の人にも仕事をお願いできるので、本当にインターネットは便利だと感じます。

継続することで安定して稼げるようになる

ベテランになれば、この収入で暮らせるだけの生活費を稼ぐことも可能です。ただ、在宅ワークの報酬は出来高が基本なので、スタート直後はさほど稼げないと思います。

ベテランは1日で音声1時間分を起こすこともありますが、不慣れな人は1時間分を起こすのに1週間かかったりします。また、最初は途切れなく仕事を請け負えるとは限りません。長く続けることで信頼関係のあるクライアントができ、結果もついてくる感じです。私は文字起こしを始めて17年目ですがもっと長くやってらっしゃる方もたくさんいます。

仕事は複数のルートから見つける

仕事を見つける方法としては、以下があります。

  1. 速記や文字起こしの専門会社に登録する
  2. 在宅ワークのエージェントに登録する
  3. 同業者の仲間を見つけ下請けする
  4. クラウドソーシングに登録して案件を請ける

音声1時間当たりの単価の相場は、数千円を中心に様々です。下請けとして仕事をするか企業から直接受注するかによっても、単価は異なります。初心者の場合は、まずは文字起こしのスキルを磨いてから仕事を請けることが重要です。自力で勉強してもかまいませんし、下記でご紹介する「文字起こし技能テスト」で一定のスコアをとることで自信につなげることもよいでしょう。

仕事を請け、報酬を頂くようになったら、プロとしてのスキルを求められることを自覚しましょう。スキルをつけていけば、自然と仕事の単価も上がっていくはずです。

年齢・経験と問わず、やる気次第でスキルアップできる

ライター出身などの方を除けば、皆横一線でスタートするわけですから、あとは自分の勉強次第です。比較的年齢を問わずにできる仕事でもあります。目安として、学校時代に国語が得意だった人は向いているようです。音声に漢字を当てはめ、読みやすく句読点を打つ作業にはそれなりの国語力が必要だからです。

例えば「かれはこのしごとに、いがいなてきせいがあって」という音声に「彼はこの仕事に、以外な適正があって」という文字を当てはめて起こしてはNG。こういう文脈では「意外な適性」ですよね。入力が正確で速いことや、知らない言葉を調べる力も必要です。パソコンを使う仕事なので、パソコンのメンテナンスやウイルス対策などを自分でできることも大事です。

テストや講座でスキルアップを

おすすめは、「文字起こし技能テスト」を受験することです。公式テキストや公式問題集なども出ていますので、繰り返し勉強することができます。合格・不合格ではなく、スコア制なのでどんどん実力をつけてアップしてください。また、「文字起こし技能テスト」は、実際に仕事を発注している企業が協議会となって組織されていますから、文字起こしの専門会社のトライアルや面接を受けるときにも役立ちます。

あとは通信講座なども多くあります。その際の注意点は「講座は勉強の場」と割り切ることです。過去には「仕事をあっせんしてもらえるかも」という期待につけ込んだ悪徳商法が摘発されたこともあります。私も文字起こしの講座を開講しています。文字起こしは地方在住の方でもできますから、講座も通学ではなくオンライン講座にして、どこからでも受講できるようにしています。

「開店休業」から脱出。仕事を増やすコツ

通信講座で学んで仕事をスタートしてものの、仕事がこなくて「開店休業」になってしまっている方がいます。そうした場合は、まず高いプロ意識を持つことです。音声を起こすという技能だけでなく、ビジネス知識も備えていないとクライアントとの信頼関係は築けません。

仕事を受注するためのホームページを作成している方も多くいますが、中にはビジネス向けのページになっていない場合もあります。主婦好みの可愛らしいデザインだったり、実績を書かずに「頑張ります」「納期厳守します」など当たり前のことだけ書いていたり。これではなかなか受注につながりません。プロとして仕事していく上でのアドバイスとして、以下の4点があります。

  1. 文字起こし技術の実力をつけること
  2. 新聞を読んで、時事的な知識を得ること(私は日本経済新聞・毎日新聞を読んでいます)
  3. パソコンを仕事がしやすいようにカスタマイズすること(私は1200以上の言葉を独自に単語登録しています)
  4. 入力速度を速めること(音声60分を起こすと約1万6000文字。私の入力スピードはおおよそ10分で900文字~1100文字です)

話者の特徴が出せる「文字」を打てるようになると面白いです。例えば、落語の音声を起こすのであれば文字だけを読んで面白くないとダメですよね。国語力・時事問題の知識、そして話者をよく理解して作業を進めることが大切です(以上、廿氏)。

居住地に関係なく、長く働けることが魅力

文字起こしの魅力は、「初期投資が少なく始められること」と「ネット環境さえあれば地域を選ばずに仕事ができる」ことでしょう。家族の転勤などにも臨機応変に対応できるので、家事や育児と両立しながら長く続けられるのが最大の魅力です。

ただし、初心者からスタートした場合、スラスラと文字を起こすようになるまでにはかなりスキルアップが必要です。オンライン講座を利用するのも方法ですが、常に文字入力の速さを高める自己練習をすることをお薦めします。テープ起こしのポータルサイト「okoso」では、廿氏が実際に実演している画像が掲載されています。そのスピード感と正確さを見ることも勉強になります。

文字起こしを仕事とする人は、「入力」や「ライター」などに仕事を広げるケースが多くあります。自分の能力を引き出していける仕事なのかもしれませんね。

文字起こしのスキルアップに役立つサイト

■「okoso」 オコせばツカエル
テープ起こし・音声起こしの総合情報サイト。ICレコーダーでの上手な音声の取り方から、起こし方の基本・応用まで幅広く紹介。テープ起こし実況動画も面白い。メールマガジンにて仕事情報もあり。

文字起こし技能テスト
2015年よりスタートした即戦力が身につく文字起こし専用の技能テスト。インターネットがあれば、自宅から受験が可能。公式テキストほか、公式問題集が発売されている。

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