決定的だった、お金の未管理
あればあるだけ使ってしまう、浪費体質の見直しは急務。 |
現在の住まいは父親名義。支払家賃はなく、光熱費を妹さんと折半しているのみ。自分で自由に使えるお金がほとんどで、無理なく貯蓄できる状況です。さぞかし貯金がたまっているだろうと聞いてみると、「さぁ」との回答。貯金らしいものと言えば、口座を開くときにひとまず入金した定期預金の10万円。これは生活費とは別口座のためかろうじて手付かずにあるとのことでした。K子さんのお金はいったいどこへ流れていっているのでしょうか。
けっして派手な生活ではない、というK子さんですが、貯金がないのは事実。貯まらない要因のひとつは、K子さんの趣味である国内旅行だと判明。暇があれば一人であるいは知人と旅行を楽しんでいるようです。今はそれも楽しくてよいでしょうが、マンションを購入したい、となれば話は別です。
“返せる”住宅ローンのためには家計収支の把握を
マンションを購入する場合、ほとんどの方が住宅ローンを利用します。毎月の住宅ローンの支払いは、家計収支から出て行きます。毎月の可処分所得(収入)と毎月の基本生活費(支出)の差額がいくらあるのかを把握し、その“返せる”範囲で住宅ローンをプランニングしなければ、怖くて住宅ローンは組めません。
もし、K子さんが家計収支を無視して、年収だけを考慮して住宅ローンの借入を行うとどうでしょう。以下をご覧下さい。
※設定条件:年収450万円。年収負担率25%。金利3%。返済期間35年。家計収支から返済可能な額3万円
【住宅ローンの借入可能額は?】
●年収からの試算額:2430万円
●家計収支からの試算額:770万円
いかがでしょう。貯まらないK子さんの今の家計では、毎月3万円を住宅ローン返済に回すことも至難の業でしょう。自己資金がゼロで、借入が770万円では新築マンションは買えません。
ところが、支出や収支を考慮せず年収のみを基準に試算すると、なんと2430万円もの借入れができるのです。K子さんのように、「年収からの借入可能額」と「返済可能な借入可能額」とに差がある場合は要注意。家計の見直しをせず、また意識もせずに住宅ローンを借入れすると、家計への負担が重くなり、せっかくのマンション購入もライフプランも台無しです。
事前準備のための、積極的な待ち時間
住宅相談の終わりにK子さんが、「今は買うべきじゃないし、買えないことがよくわかりました。」とポツリ。さらに「まずは自分のお金を把握したい。結婚するにも母と暮らすにもお金は必要です。毎月のお金を管理し、貯金ができるような状態にしなければならないと痛感しました。そして、できれば同時並行で自分のライフスタイルをイメージして、どこにどのようなマンションが自分にぴったりなのかを見極めていきたい」と。
買う気満々のK子さんでしたが、今、買うことを断念。ですがその表情はとてもすっきりしています。「自分のお金やライフスタイルを把握しないまま購入に踏み切らなくて本当に良かった。そのまま突き進んでいても、マンションを絞りこむことはきっとできなかったと思うし、言われるまま年収を基準に住宅ローンを組んでいたらと思うと恐ろしいです。お金の管理をできる範囲でしっかりとやっていきたい。」と力強く話して下さいました。
近いうちにきっとK子さんから、中身の濃い住宅購入相談の依頼があるに違いありません。自分にジャストなマンションをジャストな資金プランで購入するには、自分を把握するための事前準備の時間が必要です。K子さん頑張ってください。