住宅購入予算の決定要因は二つ。預貯金の額と毎月の収支です。現在の預貯金からいくらを購入資金に回せるか、毎月の家計収支からいくらの住宅ローンが払えるか、この2点がわかればあなたの予算もバッチリ。「でも、試算した予算が少なければ、欲しいマンションを諦めるしかない?」いいえ、奥の手の「親からの援助」があります。皆が使える方法ではありませんが、いつの日か直面する「相続」とも密接に関わります。事前知識を入れておきましょう。
親からの援助、3つの方法
親から資金援助を受けるには、プレゼンテーションが大切!? |
親御さんから援助を受ける方法は3つ、「もらう」「借りる」「共有名義」です。現金のやりとりがあるのは最初の2つ、3つめの「共有名義」はマンションの所有権という権利をシェアする内容で、親御さんと共同でマンションを購入する方法です。3つのうち「もらう」が今回のテーマですが、これは資金の贈与。親子間の贈与も贈与税の対象となるためタックスプランニングが必要です。
なお2つめの「借りる」は、金融機関の代わりに親御さんから借入れるケース。借りたものは利息をつけて返済しなければなりません。どの方法を選択するかは、あなたの資金プランと返済プラン、親御さんの資産状況や考え方次第。両者で充分な話し合いを持つことが適した選択に繋がります。
贈与税は高い!?
例えば、あなたが父親から100万円の資金贈与を受けてマンションを購入したとしましょう。贈与税は1年間の贈与でもらった財産のうち、課税対象となる財産の総額にかかります。ただし、基礎控除といって贈与税の計算から除いてくれるお金が110万円あり、先の事例の場合も1年間に他の贈与がなければ、基礎控除の範囲となり贈与税は発生しません。
では、1000万円の場合はどうでしょう。基礎控除110万円を除いた890万円が贈与税の対象となり、税額は231万円にもなります。贈与税は所得税とおなじく課税対象(贈与の額)が多くなるほど税率が高くなる累進課税という仕組みです。1000万円を超えると最高税率の50%が適用され、例えば3000万円の資金贈与では、1220万円の贈与税が課せられます。
タダでもらうことのハードルが高いのは仕方がないのかもしれません。ところが、今国会で2年の延長が認められた住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度を利用すれば、3500万円までの贈与は贈与税の対象外です。「贈与税を払うのがもったいない」という方には嬉しい制度ですが、利用に当たってはいくつか注意点があります。次ページ以降でみていきましょう。