住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度とは
税制の特例や税制改正の情報収集も入念に行いたい |
例えば、あなたのマンション購入に際し、父親から3000万円の贈与を受けたとします。通常の贈与であれば1220万円の贈与税が課税されるところ、この制度を利用すれば贈与時の課税はありません。将来、父親に万が一の事があり相続が発生すると父親の相続財産に過去に贈与を受けた3000万円を加えた全体が課税対象となって相続税が計算されるのです。
「じゃあ、結局は課税?」と疑問がわきますね。その通りです。ただ、ちょっとしたカラクリがあります。それは、3500万円までは贈与時の贈与税がかからず、相続税として精算されること。贈与税は1000万円を超えると50%という高い税率が適用されますが、相続税は課税価格1000万円超3000万円以下に対しては15%、50%の税率となるのは3億円超の場合と贈与税とは大きく異なります。この課税価格に対する適用税率の違いがメリットとなるのです。
しかも、相続税には大きな基礎控除があります。例えば、父親の相続に対して法定相続人(民法上の相続人)が母親とあなたとご兄弟の3人だとすると、基礎控除額は8000万円。つまり、贈与分との課税価格の合計が8000万円までは相続税がかからないこととなります(現行制度)。
話をややこしくし大変恐縮ですが、現在、この相続税の基礎控除額については、見直し案が出ています。来年からは基礎控除額が引き下げられる可能性が高く、相続や贈与の課税価格によっては増税です。制度の利用をお考えの方は今後の税制改正の行方にくれぐれもご注意ください。
もう一つの相続時精算課税制度
先にお話しした、住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度は、平成21年末の贈与までが対象です。相続時精算課税制度には、贈与の対象を住宅資金に限らない基本型のものがあります。非課税額が2500万円だったり、親の年齢制限があったりと、住宅資金援助には少々使い勝手が悪いものとなっていますが、その代わり贈与のお金で家具を買おうが、車を買おうが個人の自由。利用目的の制限を受けないのが特徴です。
次ページに両者のポイント比較表を載せましたのでご覧下さい。