「学習性無力感」と「自己効力感」
考えてから動くより、動いてから考えるぐらいが、ちょうどいい。 |
なぜ、一度失敗すると、その後の勉強へのやる気が失せてしまうのだろうか。これはマーティン・セリグマンが指摘した「学習性無力感」を想起させる。セリグマンが行った有名な実験は以下である。
犬を3群に分ける。
- 【A群】ハンモックで固定し電気ショックを与えるが、パネルを押すことで止めることができる。
- 【B群】同じく固定し電気ショックを与えるが、自分では止める事ができない。
- 【C群】何もしない。
さて、前期の履修に失敗し、「学習スタイルの過渡期」をうまく過ごせなかった学生は一体どうなるか。教員に相談しようと思っても、高校のような職員室は無い。誰に、どこに相談すればいいのかわからない。結果ずるずると前期を過ごし、試験に突入、結果は散々たるものになる。ここでまた相談しようと思ったとしても、大学は夏休み。ずっと授業は無く、苦しみから解放されてしまう。結果、相談することも気持ちを切り替えるきっかけもなく後期を迎えることになり、後期の成績も火を見るよりも明らかである。まさに「学習性無力感」を学習してしまったことになる。この状態になってしまった学生を、例え呼び出して面談しても、再度やる気を起こさせるのは非常に難しい。
では、どうやって早期に、やる気を引き出せば良かったのだろうか。そのヒントがアルバート・バンデューラが提唱した「自己効力感」である。
自己効力感とは、結果を出さなくてはいけない状況に置かれた時の、成功する予測及び確信の程度のことである。例えばスポーツで対戦する時や、難しい試験に挑む時、はたまた大好きな異性に告白する時であっても必要となる力である。この力が無ければ行動できないし、行動できなければ未来は開けない。この「自己効力感」の強さが、大学生にとっての最初の試練「学習スタイルの過渡期」を乗り越える決め手になると考える。
バンデューラは自己効力感を生み出す源泉は以下の4つであるとしている。
- 達成体験
自分自身が何かを達成したり、成功したりする経験すること - 代理経験
自分以外の他人が何かを達成したり、成功したりする経験を観察すること - 言語的説得
自分に能力があることを言語的に説明されたり、励まされたりすること - 生理的情緒的高揚
不安など、自分の心の持ちようによって阻害している要因を払拭すること
- 達成体験
小テストやレポート、グループ発表などに挑戦し、達成感を得る。 - 代理経験
同級生や上級生の活動・成果発表を見せてもらい、ノウハウを学ぶ。 - 言語的説得
教員に相談し、学習方法などのアドバイスを受ける。 - 情動的喚起
不安に駆られるなら医療機関にてカウンセリングを受ける。また友人・知人に相談し心理的なフォローを受ける。
「学習性無力感」に打ちのめされる前に、自ら「自己効力感」を高める意識が必要なのだ。
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