大学生の就職活動/就職活動の準備

年功序列は日本企業の成長の鍵だった 2

年功序列は時代に合わない、これからは成果主義だと言われて久しい。しかし、思ったほど成果主義が日本の企業文化にマッチしていないのも確か。年功序列が持つメリットを加味した制度を持つ会社を選ぶべきだ。

執筆者:見舘 好隆

年功序列制度のデメリット

チームワーク
年功序列にもいろいろデメリットはあるが、少なくともチームワークを支えていた。
※記事「年功序列~日本企業の成長の鍵だった(1)」より続く。
さて、今度は年功序列制度のデメリットを考えてみよう。

  1. 事なかれ主義になる。
    仕事上で大きなミスをしなければ、確実に昇進していくので、リスクのある行動が取られにくい。特に消費者のニーズの変化も速く、IT化により業務効率も向上し、ライバルもすぐに追いついてくる昨今、ある程度リスクをとってでもすばやく新しい試みにチャレンジする気概がなければ、知らず知らずに市場から置いてけぼりを喰らい、ライバルに簡単にシェアを奪われてしまう。また、事なかれ主義において組織改革に手を付けようなんてなかなか思うはずはない。良くある例で言えば、新規事業を始めることや、業務改革を行うことに真っ向から反対することが挙げられる。結果、問題は先送りになり、その会社は衰退してしまう(三菱自動車やカネボウなんかはいい例である)。当然官公庁において改革が進まないのは、改革反対派がたくさんいること、そして年功序列制度が君臨していることが大きな原因の一つと言えよう。
     
  2. 転職者や非正規雇用に不利である。
    同一企業への勤続が重視されるので、転職者が制度的に不利になる。最たるものが「退職金」だろう。私は2回転職をしているが、やはり退職金の額はかなり損をしている。あと、海外留学や社員持ち株制度など、様々な福利厚生制度も不利になるだろう。給与的にも前職の給与と当該業務担当者の平均給与との間をとることが多く、同じ役職で同じ仕事内容の「その会社一筋」の社員の給与より安くなることが多い。また、派遣社員や契約社員などの非正社員は年功序列制度の対象外とされ、給与を相対的に低く抑えられてしまうことになる。
     
  3. 人員配置が硬直的になる。
    ある人が凄い業績を上げたにせよ、素晴らしい商品を生み出したとしても、抜擢人事が行いにくい。また、高賃金の年長者の給与を下げることも困難。つまり、年長者が増えれば増えるほど人件費は高騰していく。例えば、業績悪化に伴い人件費を圧縮しなくてはならない場合、年功序列に沿った給与体系では、給与を下げることができない(リストラしかなくなる)。また、その人の業務スキルが低いからといって閑職に異動させたとしても、給与を下げることができない(何となく窓際族になって頂き、自らの意志で辞めてもらうしかない)。


うーん、やっぱり「年功序列」はデメリットが多いな。特にこのスピードが求められる時代、スピードに対応できる成果主義じゃないと、人件費はもちろんその他経費の圧縮もままならないのは想像できる。

「じゃあ、全ての企業が年功序列を辞めればいいじゃないか!」

でもね、成果主義もメリットばかりじゃないんだよ。
その点を学んでいこう。


※次のページで、成果主義制度のメリットを学ぶ!

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