「内定取り消し」とは法律的に何か?その1
ショックで辛いと思うが、まずは法律上どうなのかを確認しよう。 |
ここで「内定」の定義を確認しておく。まず、「内定」と「内々定」の違いである。この言葉の定義は、ものすごく曖昧で、以下の二つの視点によって分けられる。
- 日経連「大学卒業予定者・大学院修了予定者等の採用選考に関する企業の倫理憲章」における、「採用内定日の遵守」からの視点(2009年度版はこちら)
採用内定日の遵守とは、すなわち内定を出すなら10/1以降にしろということである。よって、この基準から考えると、10/1以降が「内定」で、それ以前が「内々定」ということになる。しかし、あくまでも倫理憲章であり、法律ではない。そもそも、日経連に加入していない企業は関係ない。 - 書面での契約からの視点
「内々定」とは、内定の打診、内定の前段階としての行為であり、まだ内定に至っていないという状態を指す解釈である。つまり、学生にはもちろん内定を辞退する権利があり、内定の通知だけでは労働契約の締結ではないというわけだ。その後、入社同意書または誓約書の提出という形で、労働契約を結ぶことになり、この時点で正式な「内定者」となる。
おそらくこの時期、入社同意書または誓約書の提出をしていない内定者はいないと思う。よって内定を取り消される学生は、きっと正式な労働契約をした内定者であり、内定取り消しは「労働契約」の解除に相当し、解雇の場合と同様、合理的理由がない場合には取消しが無効とされるのである。
※次のページで、「内定取り消し」とは法律的に何か?その2を学ぶ!
※単に電話だけの内定通知だけでは、その電話を録音でもしない限り、内定を通知した証拠にはならない。よって、企業から採用内定通知書をもらってからでないと、他社の就職活動を辞めるのはリスキーである。これから就職活動をする学生は、特に注意をしよう。ともかく、口頭だけの内定だけで就職活動を終えるのは危険だ。
※「内定」を労働契約と見なした判例で有名なのは、1979年の大日本印刷事件(最高裁昭和54年7月20日第二小法廷判決)である。
※「内々定」取り消し(内定式直前)を違法とし、企業に解決金命令を下した判決が福岡地裁労働審判(2009年4月3日)であった。取り消した不動産会社はこの判決を不服として異議を申し立てをしているが、ポイントはつまり呼称の問題ではなく、どれだけ学生に損害を与えたかが問われるということだ。
※「内定」を労働契約と見なした判例で有名なのは、1979年の大日本印刷事件(最高裁昭和54年7月20日第二小法廷判決)である。
※「内々定」取り消し(内定式直前)を違法とし、企業に解決金命令を下した判決が福岡地裁労働審判(2009年4月3日)であった。取り消した不動産会社はこの判決を不服として異議を申し立てをしているが、ポイントはつまり呼称の問題ではなく、どれだけ学生に損害を与えたかが問われるということだ。