条件を満たしたときに労働者は有給休暇をもらえる権利がある
有給休暇の権利発生条件とは?
- 入社から6か月以上経っている
- 直近の出勤率が8割以上ある
<目次>
労働者が有給休暇をもらうとき、会社は教えてくれるの?
年次有給休暇は、上記2つの要件さえ満たしていれば当然に発生します。毎月の給与明細書に「有給休暇の残日数」として記載されている場合もありますが、会社から特に通知がなくても、従業員は有給休暇の使用を請求することができます。会社が教えてくれなかったから、有給休暇を使えなかった!とならないよう、何日分の有給休暇をいつもらえるのかは、自分でも把握しておきましょう。有給休暇は「毎年4月1日」にもらえると言われました
原則として、入社から6か月後に年次有給休暇が付与されるルールですが、中途入社が多い会社だと、一人一人の入社日が異なるために有給休暇を付与する日も異なってしまい、会社側の管理が大変です。<例>
- 4月1日入社の1回目付与→10月1日に10日
- 5月15日入社の1回目付与→11月16日に10日
- 3月1日入社の2回目付与→9月1日に11日
- 6月20日入社の3回目付与→12月21日に12日
そこで、会社が一定の「基準日」を設定して、一斉に年次有給休暇を付与する制度が「基準日付与」です。基準日は「4月1日」や「1月1日」が多いですが、会社の決算期に合わせて設定している場合もあります。
基準日を設定すると、入社月によっては6か月を経過する前に有給休暇をもらえる場合もあり、もらえる時期と日数については多少の不公平感が出てしまいます。そこで、入社初年度に限っては一律6か月後の付与として、次に到来する基準日に2回目の付与を行う例が多いようです。会社ごとにルールが異なりますので、就業規則で確認するようにしましょう。
「午前半休」「午後半休」という有給休暇の使い方はいいの?
年次有給休暇は、賃金が保障された日単位の休日を与えることで、従業員に心身のリフレッシュをしてもらおう!という目的により、法律で義務づけられています。1日単位で取得することが原則ですが、半日単位または時間単位で使うことを認める会社もあります。- 半日単位の有給休暇:従業員が希望し会社が認めた場合に限り、半日単位で使用できる
- 時間単位の有給休暇:会社と従業員代表が労使協定を締結して定めた場合に限り、年5日を限度として、時間単位で使用できる
半日単位の有給休暇は、お昼の休憩時間を境に「午前」と「午後」に分けて取得することが多いです。就業時間が9時~18時の場合、「午前半休」を9時~12時の3時間とするのか、9時~13時の4時間として「午後半休」の14時~18時の4時間と合わせるのかは、会社によってルールが異なります。取得する前に確認しておきましょう。
時間単位の有給休暇について、その使用を認める会社はまだまだ少なく、使用できる時間数も「1時間」とは限りません。詳細については、就業規則または労使協定が会社内で周知されていますので、しっかりと確認しておきましょう。
有給休暇の5日分を、会社が強制的に取得日を決めてしまう制度
日本の有給休暇消化率は諸外国に比べてとても低く、従業員が有給休暇を取りにくいという風潮があります。そこで、会社が計画的に有給休暇の取得日を割り振って取得させよう!という「年次有給休暇の計画的付与制度」ができました。会社が計画的付与制度を導入するためには、- 会社と従業員代表が労使協定を締結すること
- 一人一人の従業員が持つ年次有給休暇のうち、5日を超える分のみを対象とすること
さらに、労使協定では「計画的付与の対象とする従業員」や「対象としない従業員の範囲」、「年次有給休暇を持たない従業員の対応」などを定めなければならないとされています。そのため、育児や家族の介護を抱えている従業員は、自分が持つすべての有給休暇を自由に使うこともできますし、有給休暇をもらえる要件を満たしていない従業員(8割以上出勤しなかった従業員など)は、計画的付与の日に出勤しなければならない場合もあります。
年次有給休暇の計画的付与の方法
- 事業場全体の休業による一斉付与方式:工場のラインなどで操業をストップさせることで、一斉に全従業員を休ませることができる場合に活用できます
- 班・グループ別の交替制付与方式:事業場で一斉に休みを取りにくい業種や、流通・サービス業など定休日を増やすことが難しい業種で活用することができます
- 年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式:一人一人の従業員の希望を聞いたうえで、会社が付与計画表を作成し決定する方法で、誕生日や結婚記念日などを充てることが多いようです
計画的付与とする具体的な日付については、従業員の理解を得やすいよう、年末年始やGW、夏季休暇の前後に設定して、長めの連休とすることで活用している会社が多いです。計画的付与の日付については、労使協定または会社カレンダーで定められていますので、早めに確認しておきましょう。
年次有給休暇は、法律で認められた従業員の権利です。残業が続いて辛い、土日の休日は子供の行事があって体を休めていない等のときは、無理をせず、有給休暇を利用しましょう。もちろん、有給休暇を取るときには、一緒に働く人たちに迷惑がからないような申し送りや準備も必要です。お互いが気兼ねなく有給休暇を取得できる職場となることが、消化率UPおよび業務の効率化にもつながります。
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