派遣で働く/派遣の基礎知識

飲み会帰りのケガ、労災請求できる?(2ページ目)

仕事上のけがなどは、できることならしたくないもの。それでもけがをしてしまったら、予備知識として労災や手続きのことを知っておけば、万が一の時あわてなくてすみますよね。今回は労災についてお話します。

執筆者:林 紀子

「労災」って何?

労災とは労働災害のこと。つまり、労働者災害保険(以下労災保険)が適用される、業務上または通勤途上に起きたけがや病気のことです。休日にスポーツでけがをして通院する場合などは健康保険を使い医療費の3割を自己負担しますが、労災保険が適用される場合は、医療費は負担しなくてもよくなります。

この労災について、「厚生労働省のまとめによると派遣労働者の労災(休業4日以上の死傷者数)が3年で9倍」というニュースがありました。(毎日.jp)5,885人中、製造業が2,703人と群を抜いて多く、続いて運輸・交通業が318人となっています。労災というと機械などに巻き込まれて指を切断したり、石綿作業に起因する病気など、大きなけがや病気を思い浮かべるかもしれません。

実際は、「労働提供の過程から生ずる災害が、使用者の支配に起因している場合には、使用者が責任を負うべきものとされています。」(財団法人 労災保険情報センター)なので、たとえば、仕事中に重いダンボールを持って腰を痛めて通院しなればならなくなった場合や寄り道をしないで帰宅している途中で自転車と接触してけがをした場合なども労災として認められます。この労災を認定するのは労働基準監督署です。労災申請者が申請書に記入した内容で判断します。

通常、業務が終了した後の会社の飲み会に参加して、帰宅途中にけがをしても労災にはなりません。しかし、Aさんにとっては、行きたくなかった歓迎会の帰りにけがをするなんて、しかも病院に行けばお金がかかるしこの時間だと時間外で料金も割増しだし…どうしてこんな目にあわなきゃいけないの?と悲しくなりますよね。

今回の場合は、極端な言い方をすると業務命令的に飲み会に参加することになったので、労災に認定される可能性があるそうです。


最後に、次のページでAさんがとるべき行動を見てみましょう。
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