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『消費税の処理』税抜き?税込み? その1(3ページ目)

日々の経理の仕事の中で、必ず絡んでくる「消費税」の処理。あなたの会社は消費税について「税込経理」と「税抜経理」どちらを採用していますか?今回は、消費税の経理方法についてご紹介します。

執筆者:森 康博

では、『税抜経理』って?

『税込経理』同様に、『税抜経理』について簡単に整理することにしましょう。

■意義

これは、取引するたびに生じてくる消費税の額を本体価格と区別して経理処理する方法です。

■日常の仕訳

『本体価格 100円 消費税額 5円』の消耗品を現金で購入した場合、
(借)消耗品費  100円  (貸)現金  100円
(借)仮払消費税等 5円 (貸)現金  5円
という二つの仕訳を切ることになります。

また、『本体価格 500円 消費税額 25円』の商品を現金で販売した場合、
(借)現金 500円  (貸)売上高  500円
(借)現金 25円 (貸)仮受消費税等 25円
という二つの仕訳を切ることになります。

知識も必要
取引ごとに消費税を把握する必要があるので、ちょっと大変そうですが……。
基本的に、一つの取引で二つの仕訳を切る必要があるということです。

■決算仕訳

決算期を迎え、その期の消費税額が確定した場合の消費税の経理方法は「税込経理」の場合と違って、一つです。

日常の取引を重ねていくうちに、経費等とともに自分が支払った消費税は「仮払消費税等」勘定に、逆に収入とともに自分が受け取った消費税は「仮受消費税等」勘定に蓄積されているはずです。

消費税の仕組みは、簡単に言うと「自分が受け取った消費税」から「自分が支払った消費税」を差し引いた金額を、税務署に納めるというもの。
受け取った消費税のほうが多ければ「納税」、支払った消費税のほうが多ければ「還付」となるわけです。

決算期末の「仮払消費税等」が 5円、「仮受消費税等」が 25円だった場合、
(借)仮受消費税等  25円  (貸)仮払消費税等  5円
                  (貸)未払消費税等 20円
という精算仕訳を切ることになります(仮受消費税等より仮払消費税等のほうが多い場合には、「未収還付消費税等」(借方)という勘定科目で処理します)(※)。
この例によると、この会社は消費税を20円納税する必要があるということです。

続きは、次回の記事で!

おっと!『税込経理』と『税抜経理』についてご紹介しているうちに、ちょっとページが嵩んできました。。。
というわけで、続きは次回の記事でご紹介します。お楽しみに!



※ 実際には、税務署に納付する消費税額が100円未満切捨だったり、消費税の端数処理の関係で、少額の差額が出てきます。
これは「雑収入」または「雑損失」という勘定科目で処理します。


【今回のまとめ】

■ 「消費税の経理方法」には『税込経理』と『税抜経理』の二つがある。
■ 『税込経理』は消費税を区別することなく期中処理する方法。
『税抜経理』は本体価格と消費税額を区分して処理する方法。
■ 『税込経理』は決算時の仕訳に、二通りの方法がある。
『税抜経理』は決算時に仮払消費税等と仮受消費税等を相殺する。
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