「底」の見えない年金問題
年金問題は国民生活の根幹に関わるもののひとつ。 これからどのような政策が取られていくのか、注視していく必要があります。 |
その中でも何かと話題となっているのが「年金保険料や年金の横領」という問題ではないでしょうか?
みなさんが納付した保険料をそのまま自分の懐に入れてしまったり、不正に年金を受給したり、という職員の行動にも驚かされますが、さらに凄いのは社会保険庁や自治体がその事実を把握していたのに放置してきたこと。
残念ながら、社会保険庁や自治体に限らず一般企業でも「横領」は起きてしまうものです。が、一般企業で「横領」が発生した場合、経理ではどのような取扱いがなされることになるのでしょうか?
「横領されてしまった!」
あなたが会社を経営しているとして、もし、社員が1,000万円横領してしまったとしたら、一体どのようにするでしょう?横領した理由をその社員に尋ねてから、どうするか決めることとします。
その結果……
何だか可哀想なので、許す
この社員は、止むに止まれぬ理由があって横領したと告白しました。優しい社長は、横領されたお金を返さなくてもいいという判断をしました。
……うーん。いい(?)話ですねー。しかしながら、社長のあなたが許しても税務署は許してはくれません!
横領した1,000万円は、本来ならば社員が会社に返すべきもの。それが返さないでいいことになったとしたら、その社員は1,000万円分丸儲けしたことになるからです。
税務上はその儲けに着目し、「会社から社員へのボーナス」として取り扱われることになります。ですから、横領された損失は「賞与」という勘定科目で処理することになるでしょう。
賞与ですから、これについては源泉所得税がかかってきます。
「源泉税」は、税金自体は社員が負担すべきものですが、納税は社員の代わりに会社が行う決まりとなっている、ちょっと変わった税金です。みなさんも給与明細を見ると源泉所得税が会社により天引きされているかと思いますが、その天引された税金は会社が税務署に納めているわけです。
今回の場合、例えば税率が10%とすると、100万円の源泉税を会社は税務署に納めないといけませんが、その100万円、果たして横領した社員から無事回収することが出来るでしょうか?
この社員は横領するほどお金に困っているのですから、結果的に横領された1,000万円に止まらず、源泉税分会社が余分な負担をすることになってしまう可能性もかなりあることでしょう。