「人材派遣業」はなぜ伸びたのか?
「事件」にはその背後に必ず「原因」があるもの。その原因を探ることにより、単なる他人事としてではなく、自分に活かせることはフィードバックしていく。 時にはそのような姿勢もスキルアップには不可欠です。 |
冒頭でもご紹介しましたが、消費税の告発件数のランキングで下位からいきなりトップに躍り出た「人材派遣業」。
下位の業種がいきなりトップになるというのは、ちょっと特殊なことです。
人材派遣業は昔からあった業種ですが、特に躍進したのがバブル崩壊後の不況から立ち直ろうとしていた時期。
そのころ多くの企業は収入が有っても無くてもかかるうえ、金額も比較的大きい経費「給与」を削減し、必要なときだけ有能な人材にきてもらえる「派遣」にシフトすることにより経費を削減し、不況を乗り切ろうとしました。
「派遣」にしてしまえば、労働環境の整備や退職金・賞与その他の福利厚生の経費も抑えることが出来るうえ、そう、今回のテーマとなった消費税の負担も軽減できたりしたのでした。
でも実は、このことは「社会」が「人材派遣業」に「人材を雇用すること」「雇用することから発生する責任」を過度になすり付けていた、という一面を現しているとも言えます。
もちろん、「脱税」は許されることではありません。
今回消費税脱税してしまった人材派遣業者は、これらのことに対して猛省をしなければいけないでしょう。
でも、多くの人材派遣業者は消費税の脱税をするために生まれてきた訳ではなく、真面目に社会的な役割を果たしてきているはずです。
単に報道の一つとして「人材派遣業はケシカラン!」と言うだけではなく、ニュースを冷静に見つめてみると、「なぜそのようになってしまったのか」「これからどのようにすべきなのか」まで思いを馳せることができるかと思います。
たまにはこんな「ニュースの読み方」も良いかと思いますが、みなさんはいかがでしょうか?
【関連リンク】
・「平成18年度における査察の概要」(国税庁)
今回発表された脱税についての報道資料です。脱税の手口なども紹介されています。