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広告にある給与はそのままもらえるのか(1) 求人賃金と就職賃金の差を考える(3ページ目)

募集広告に掲載された給与。当然、入社したら少なくともこの額はもらえるものと期待するわけですが、実態を見るとそうとは限らないようです。

執筆者:西村 吉郎

あなたの方が勘違いしていることもある

●試用期間中で賃金が低く抑えられている
賃金の決定には、本人の年齢、学歴、キャリアなどが関わってきますが、多くの会社では、転職などで入社してしばらくは、職務遂行能力や勤務態度を観察する期間として、試用期間が設定されます。そして、この試用期間中は、本採用の社員とは別の賃金体系が適用されることがあります。

たとえば、試用期間中は基本給だけで、家族手当や住宅手当などは本採用となってから支給するとか、月給制ではなく日給あるいは時間給とするなどです。

全国求人情報協会の広告掲載基準では、試用期間があり、その間の賃金条件が異なる場合には、本採用となったあとの賃金とは別に、試用の期間と条件を募集広告に記載するよう求めていますが、協会未加盟の情報提供業者だとこのようなルールがないこともあります。

また、入社にあたって会社が明示すべき労働条件の中には、この試用期間も含まれますが、法律内容を知らないなどのために、事前説明がなく、給与支払いの時期になってはじめて、試用期間であることが知らされることもあったりします。会社の無知、不法行為はとがめられるべきですが、試用期間中の賃金と本採用となったあとの賃金について改めて説明を求め、納得できるかどうか判断しても遅くはないでしょう。


●入社してから給料締め切り日までが短い

会社は、1カ月のサイクルで、給与計算の起算日と締めの日を定めています。ちょうど起算日に入社すれば、1カ月丸々働いたあとに給与の支払いを受けることになりますが、起算日を過ぎてから入社した場合、その間は働いていないわけですから、その日数分の賃金が差し引かれることがあります。

給与明細には労働日数が表示されているはずですから、その日数とも勘案して、受け取った賃金が公正かどうかを判断するようにしましょう。

なお、まれに、支払い総額と手取り額を勘違いしていたり、会社は通勤交通費を含む総額を提示したのに対して、本人はその分は別途支給されるものと解釈していたなどの勘違いから、広告にあった額よりも少ないとか、説明を受けた条件よりも悪いなどと早とちりしてしまう人もいるようですからご注意ください。
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