転職することによって入ってくるお金と出て行くお金。こちらは<出て行くお金編>です。入ってくる分については、多少の皮算用があってもがっかりするだけで済みますが、こと出て行くお金の見積もりを誤ると、生活そのものが破綻してしまうこともあります。慎重にも慎重を期して、必要な資金を用意しておきましょう。
(参考記事:<入ってくるお金編>)
健康保険----任意継続するか国保に切り替えるか
退職すると、その時点で健康保険や厚生年金保険からも脱退することになります。再就職するまでの短い間だからと、どの保険も未加入のまますませる人もいるようですが、国民皆保険の原則に従い、いずれは保険加入と退職時点にさかのぼって保険料の一括納入を求められることになりますので、退職したらすぐに、保険加入の手続きをすることをお勧めします。
両保険のうち、健康保険には、それまでの保険の任意継続被保険者制度を利用する方法と国民健康保険に加入し直す方法の2通りがあります。任意継続被保険者制度は、政府管掌の健康保険、組合健康保険のいずれの保険にも用意されている制度です。
まず、任意継続被保険者制度では、自分の住んでいる地域を管轄する社会保険事務所、あるいは健康保険組合の事務所に、制度を利用するための申請書を提出します。この申請を行う時点で、1~2カ月分(退職日によって決まる)の保険料が必要です。
この任意継続の場合の保険料は、会社で給料から天引きされていた額の2倍となります。それまで会社が負担してくれていた分まで、加入者が全額負担しなければならないからです。また、保険料の納期にはけっこう厳格で、入金が所定の期日を1日でも遅れると、その時点で加入者資格を失うことになってしまいますので注意してください。
一方、国民健康保険は自分が住んでいる町の市区役所、町村役場の国民健康保険窓口で加入手続きを行います。この手続きの際には保険料を納める必要はなく、手続きしてから数日後に郵送されてくる支払い通知書に従って納入する形となります。保険料は前年の所得額や家族数などにで違ってきますが、任意継続する場合より安くなることが多いようです。ただし、自治体によっても保険料額がかなり違ってきますので、事前に、自分の場合には保険料がいくらになるのかをヒアリングしておき、任意継続の場合の保険料と比較してみる必要があります。
年金----国民年金に切り替えて加入しよう
失業しながらの転職活動を行う場合には、失業期間中であっても、国民年金保険に加入しなければなりません。保険料は、収入の多寡にかかわらず一律1万3300円です。ただし、厚生年金保険では配偶者の保険料を別途負担する必要はありませんが、国民健康保険では、夫婦いずれもが厚生年金に加入していない場合は、夫婦それぞれが別口で加入し、それぞれ1万3300円ずつを納める必要があります。
夫婦共働きをしていて、どちらか一方が転職のために退職したときは、配偶者の厚生年金保険の3号被保険者として、新たな保険料を負担することなしに加入することが可能です。
なお、失業してまったく収入がない場合には、再就職できるまでの間、国民年金保険料免除制度を利用することができます。
(参考記事:転職に踏み切る前に知っておきたい 年金保険に関する基礎知識 ご存知ですか?国民年金保険料免除制度)