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残業代、ちゃんともらってますか? 労働時間に関するQ&A(前編)(5ページ目)

労働時間や残業に関するQ&Aを集めました。基礎知識編と合わせてご活用ください。

執筆者:西村 吉郎

Q 残業時間が定時で退社した日と調整されている
 転職して2カ月経ちました。残業時間数からして時間外手当の額が極端に少ないので調べたところ、残業した日の労働時間が定時で退社した日(7時間労働)に1時間ずつ配分されているようなのです。これでは、月22日労働の月には22時間残業しても手当てが一切つかないということになってしまいます。このような調整の仕方は法律的にも認められているのですか。

A 超過時間分は労働日ごとに計算するのが原則
 フレックスタイム制や変形労働時間制など特殊な労働時間制を導入していないのであれば、勤務時間は各労働日ごとに管理し、時間外労働も、各労働日ごとに集計して時間外勤務手当の額を計算しなければなりません。
 あなたの会社の所定労働時間は7時間ということですから、これを超えて働いた分は時間外手当の対象になります。もし、1日8時間を超えて労働したときは、その超過分については1時間あたりの平均賃金の2割5分増しの割増賃金をもらうことになります。
 あなたの勤務先では、ご相談の範囲から推測する限り、労働日間で勤務時間を調整しているだけでなく、終業時間から1時間労働した分も、「実働8時間を超えて労働させてはならない」という法定労働時間を誤って適用することで、時間外勤務に計算しないという二重の誤りをしているようです。早急に処理の間違いを正してもらいましょう。
 フレックスタイム制の場合で、ある処理期間の超過労働時間に対して賃金を払うかわりに、次の期間の労働時間を短縮する形で相殺する会社もあるようですが、これも違法です。


Q 不況を理由に割増賃金の請求ができなくなった
 私の会社では、不況を理由に月30時間を限度に、それ以上の残業については手当てを支給しないことになりました。しかし実態は、残業なしでは仕事が終わらず、毎日2時間程度は残業しています。それでも手当は請求できないのでしょうか。

A 30時間を超える分も手当を請求できる
 無駄な労働時間を削減するなどの趣旨で「月30時間を超える残業についてはその都度許可を得ること」などの規定を設ける会社は少なくないようです。この規定のもとで、適切な労働時間の管理を行っているというのであれば、許可なしに行った残業を、労働時間として扱わないとするのも合理的といえます。しかし、実態として、残業なしには終えられない業務を命じたり、残業を黙認しながら手当の支払いだけは制限するのは違法です。
 いずれにしても、社員の残業時間を正確に記録しないとか、残業時間を限定するなどの方法で、実際には残業しているにもかかわらず、その労働に対する賃金を支払わないということはできません。ですから、業務上やむを得ない月30時間を超える分の残業についても、賃金の支払いを請求することができます。残業が法定労働時間を超えて行われたときには、その時間について割増賃金の支払いも受けられます。
 ところで、このようなサービス残業や過重労働を防止するために、2000年末に行政通達が出されています。それには、始業、終業時刻の確認や、記録の仕方など「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」が示されています。


Q 時間外勤務の際の休憩時間は手当の対象外?
 連日のように終業後3時間を超える残業があり、午後8時を過ぎるときは30分の休憩が認められています。そのかわり、この30分の分は残業手当の対象から除外されてます。早く帰りたい気持ちから休憩をとらずに午後8時以降も残業することは多いのですが、休憩時間に相当する時間分を残業時間から除外する会社の処理は正しいのでしょうか。

A 休憩時間中であっても働いていれば手当を請求できる
 労働基準法には、「労働時間が6時間を超えた場合は最低45分、8時間を超えた場合には最低1時間の休憩を途中で与えなければならない」と規定されています。
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