年休取得の不利益扱い
Q 有給休暇をとった分が欠勤扱いで有休ゼロに
このほど向こう1年間の年休日数が示されたのですが、なんと0日。過去半年の間、ケガで数日欠勤しましたが、それ以外には年休を取得した日以外に休みはありません。もし、年休取得日が欠勤扱いとなっていたとして、そのような扱いも仕方ないことなのでしょうか。
A 年休取得日の欠勤扱いは違法
年次有給休暇の出勤率の計算に際して、年休取得日を欠勤扱いとするのは違法です。同様に、年休を取得した日を欠勤扱いとして精皆勤手当の対象から外すなどの不利益な取り扱いも違法となります。
もし、あなたの会社が年休取得日をすべて、出勤率の計算において欠勤扱いとしているようなら、労働基準法違反を指摘して新たな基準で計算をし直すよう交渉しましょう。
年休は有給ですから、取得日数分の賃金が給与から差し引かれることはありえませんが、賞与の算定において、年休をとらずに出勤した社員と、年休を取得した社員との間で、年休取得日数に応じて賞与額に差がつくこともあります。この点については、勤務実績や企業への貢献度に応じて決定されるという賞与のもつ性格から、納得してしまう人がいるかもしれませんが、このような取り扱いについても労基法上は禁止されています。賞与の査定内容については、具体的に知らされないケースが多いと思いますが、もし、年休取得が査定の項目に入っているようなら、その点も改善を要求すべきです。
退職と年休の関係
Q 退職間際に有給休暇をとり、転職活動をしたいが
今月いっぱいで退職し、Uターンすることに決めました。ただ、転職先がまだ決まっていないため、20日ほど残っている有給休暇を利用して休みをつくり、できたら退職前に転職先を決めてしまおうと考えています。退職間際であっても有休はとれますよね。
A 法律上は問題ないが、円満退職の点で疑問も
法律上は、有給休暇をどのような目的で使おうと構いません。しかも、有休をとる時期は、その日数が残っていれば、いつ取ってもいいのです。したがって、退職間際であっても、有給休暇を取ること自体には問題はないといえるでしょう。
ただし、会社側は、客観的にみて「事業の正常な運営を妨げる」と判断される場合には、取る時期を変更することができます。ですから、あなたが残務整理や引継ぎをなおざりにしたまま有休を申請したとしたら、あなたの職務内容や職場での配置次第では、退職直前の有休の消化は認められないかもしれません。退職に際しては、なるべく会社に迷惑をかけないよう、円満な退職を心がけたいもの。特別な事情がない限り、退職間際の有給休暇の利用は避けたいところです。
また、すでに応募先に目星がついていて、面接を受けるために帰省するというのなら有休を利用しての転職活動も可能でしょうが、情報収集など一から活動をスタートする場合には、たとえ20日の有休すべてを利用したとしても、活動期間としては少し短すぎるのではないでしょうか。いついつまでに決めようと目標を持つことはいいことですが、性急にことを運ぼうとすると会社を見る目も曇りがちで、失敗を招きやすくなります。少なくとも1カ月以上かけて、じっくりと活動することをおすすめします。