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有給休暇と年休に関するQ&A(3ページ目)

年次有給休暇に関連してのQ&A、続編です。基礎知識編、Q&A(vol.2)に続けてお読みください。

執筆者:西村 吉郎



Q 3週間の有給休暇を申請したが上司が認めてくれない

夏休みを返上して働いたので、その見返りを受ける意味も込めて、今月中旬から3週間連続の有給休暇を申請しました。ところが、上司は「3週間も連続してというのは長すぎる」として認めてくれません。有給休暇は取りたいときに取れるものと聞いています。上司の処置は法律に反するのではないですか。

A 長期休暇は会社と協議の上調整を図るのが無難

年次有給休暇は、労働者が時季を自由に指定して取ることができることになっています。どういう目的で休暇をとるかについても会社が干渉できるものではなく、もし、休暇申請書等に取得目的の記入を求められても、それに応じる義務はありません。

これに対して、会社には、「時季変更権」が認められています。これは、「事業の正常な運営を妨げる場合」には他の時季に変えるよう命じることができる権利です。したがって、会社が時季変更権を行使して申請を認めない場合には、会社の指示に従わなければなりません。

ただし、この時季変更権の行使が認められるのは客観的にみて相当な事情がある場合に限られており、その社員が休んだとしても多少忙しくなる程度で対応できる場合や、代わりに業務にあたる要員が確保できる場合などは時季変更権の行使は認められません。ところが、休暇が長期にわたる場合にはそれが長期になればなるほど、業務に支障を来す蓋然性が高くなるということで、会社側にある程度の裁量的判断が認められることになります。

あなたが申請している3週間が長いか短いかについては、あなたが所属する職場の規模、作業の内容・性質、作業の繁閑等の事情を考慮に入れた上でないと軽々に結論は出せませんが、常識的に考えると、むやみに権利を主張したりせず、多少の調整には応じる姿勢を見せるのが賢明といえるのではないでしょうか。


Q 月3日以上の有休を取らせてもらえない

秋に5日ほど年休を連続で取って、海外旅行を計画しているのですが、先輩から、「慣例として月3日以上の取得は難しいよ」と教えられました。減給されてでも旅行にはいくつもりですが、それにしても会社のやり方は認められるものでしょうか。

A 取得日数に限度を設けるのは法の趣旨に反する

年休を規定する労働基準法では、年休は暦日(午前0時~午後12時)で与えるものとし、1回に取得する日数についてはとくに規定していません。しかし、年休は、労働者が取得時季を自由に指定して取得できるものですから、あなたの会社のように、「月3日以上の年休取得を認めない」とか、年の前半と後半に取得できる日数を振り分けるなどの規則を設けることは、明らかに法に違反することになります。

ただし、会社は、あなたが指定した時季に年休を取得することが「業務の正常な運営が妨げられる場合」には、取得時季を変更することができます。具体的には、仕事がとくに忙しい時期であることとか、職場のかなりの同僚が同じ時季に年休を取ると言っている場合などです。よほどの事情がなければ、会社の時季変更権は成立しないと考えていいでしょう。

もし、会社が「1カ月に3日以上の年休を認めない」とする慣例を踏襲して、年休に該当しない日としてその日数分の賃金をカットした場合には、年休の権利を堂々と主張することができると考えられます。

それでもなお、会社が慣例に従っての処置を通そうとするときは、会社所在地を管轄する労働基準監督署に相談すれば、会社に対して、法に従った措置を取るよう指導してくれるはずです。
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