「手に職」の時代を反映してか、中高生の間でもヘアメイク(美容師)、カメラマン、デザイナー、調理師、イラストレーターなど技能、技術がモノをいう職業への人気が高まっているようです。少し前の調査で、小学生の間では「大工さん」が憧れの職業第1位にランクされたというニュースもありました。
陶芸、漆塗り、木工、織物などのいわゆる伝統工芸の世界にあこがれる人も少なくないようです。しかし、これら伝統工芸産業にあっても労働基準法をはじめとする労働関係法が厳格に適用されるため、今日では、かつてのように工房の親方に弟子入りして、寝食を共にしながら技術、技能を身につけていくという方法がとれなくなり、後継者不足に悩む産地が多くなっています。
このままでは地場の産業が衰退する一方とあって、伝統的工芸品の産地を抱える自治体の中には、後継者育成を目指す公的な研修機関を設立するところも増えてきました。
以下のリストは、伝統工芸にかかわる学生、研修生を公募している教育研修機関です。施設によっては年齢や居住地など受け入れ対象者に一定の資格条件を設けているところもあります。これらの具体的な内容については各施設に直接お問い合わせください。
また、このほかにも、各都道府県の高等技術専門校に伝統工芸に関連するコースを持っているところもあるかもしれません。各都道府県の産業振興担当部署または職業能力開発担当部署に問い合わせてみてください。
伝統的工芸品産業の後継者を育成する教育研修機関
(機関名からのリンク先には、各機関が直接運営するサイトではないものも含まれます)
●栃木県産業技術センター紬織物技術支援センター
〒323-0155 栃木県小山市福良2358
電話0285-49-0009
国の重要無形文化財、伝統的工芸品に指定されている結城紬織物の技術伝習生・研修生受け入れを行っている。
研修終了後、栃木県内の織元(機屋)の仕事に5年以上従事することが条件となる。
●茨城県工業技術センター窯業指導所 「匠工房・笠間」
〒309-1611 茨城県笠間市笠間2346-3
電話0296-72-0316
陶磁器・セラミック製造業の試験・研究機関。
笠間焼を中心に陶器の成形、釉薬、焼成、デザインなど陶芸技術者を養成を行っている。
●高岡市デザイン・工芸センター
〒939-1119 富山県高岡市オフィスパーク5番地
電話0766-62-0520
伝統的工芸品である高岡銅器、高岡漆器など金工・漆工の技術・技法を、育成者がマンツーマンで伝授。
彫金、象嵌(ぞうがん)、蒔絵などを基礎からデザインから造形まで、トータルな工芸技術の習得ができる。
伝統工芸産業希少技術継承事業として補助金の交付有。
●五箇山和紙の里
〒939-1905 富山県南砺市東中江215
電話0763-66-2223
越中和紙と総称され国の伝統工芸品に指定されている五箇山和紙の伝統技法の継承と復興を目的とした施設。
●石川県立山中漆器産業技術センター 石川県挽物轆轤(ろくろ)技術研修所
〒922-0111 石川県加賀市山中温泉塚谷町イ270
電話0761-78-1696
山中漆器の原点「挽物轆轤技術」を専門的に学べる全国で唯一の研修施設。
●石川県立輪島漆芸技術研修所
〒928-0064 石川県輪島市釜屋谷町1字30番地
電話0768-22-7000
輪島塗で知られる輪島地方特有の漆芸の職人を育成する技術研修所。
未経験者のための専修科(2年)の他、
経験者のための専門課程:そ地科・きゅう漆科・蒔絵科・沈金科(各3年)