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第3の給与、福利厚生に注目(2ページ目)

待遇の善し悪しは必ずしも給与の額だけで決まるものではありません。会社選択のもう一つの着目点として、福利厚生制度を考えてみます。

執筆者:西村 吉郎

福利厚生のニュートレンド、カフェテリアプラン
カフェテリアプランは、社員それそれに勤続年数や資格等級を基準とした持ち点を与え、その範囲内で、各人が希望する福利厚生制度を選択させるという制度で、選択型福利厚生制度と訳されています。あたかも、カフェテリアで、あらかじめ決められた予算内で数多いメニューの中から自由に自分が欲しいものを選ぶように、社員がそれぞれの持ち点内でニーズに合ったものを選択できる仕組みから、このような名称が付けられたということです。

わかりやすく説明するために、進研ゼミで知られるベネッセコーポレーションが95年から導入しているカフェテリアプランを参考にしてみましょう。

ベネッセコーポレーションにおけるカフェテリアプラン・メニュー
   メニュー    ポイント   
借り上げ社宅 年40点 
住宅ローン利子補給 最大50点
社内託児施設の利用 年20点
人間ドックオプション 実費/1000
人間ドック補助 実費/1000
医療費補助 実費/1000
ホームヘルパー利用補助 3点/日
付き添い看護料の補助 本人4点/日
付き添い看護料の補助 本人4点/日
入院差額ベッドの補助 本人4点/日
個人年金補助 3または6点
介護保険補助 3または6点
住宅財形補助 実費/1000



ベネッセコーポレーションでは、全社員に対して一律に、一人年間92点(1点=1000円相当)のポイントを付与。この範囲で、上記のメニューの中から、自分が希望する福利厚生制度を選択できることになっています。持ち点は92点ですから、「借り上げ社宅」と「社内託児施設の利用」を選択したうえで、持ち家購入に備えて毎月3万2000円を住宅財形貯蓄に回し、それに対する補助を受けたとすれば、これでちょうど92点を使い切る計算です。

上手に活用して生活を豊かに
このカフェテリアプランを導入している企業としては、ベネッセ以外にスーパーの西友、阪急電鉄、トヨタ自動車、三菱自動車、日本フィリップス、松下電工などが挙げられます。このプランによって得られる利益と所得税の関係など、法的にまだあいまいな点が多いため、導入を検討しながらも踏み切れない会社が多いと聞きますが、すでに国もカフェテリアプランの導入を後押しするような法体系の整備に乗り出していますので、向こう1年くらいの間には、一気に各社で導入が進むことになりそうです。

従来の福利厚生制度は、たとえプールやストレッチルーム付きの豪華な独身寮があっても、自宅通勤の人には利用できないとか、保養所が行きたいところになくて使えないなど、社員の間に不公平感がありました。カフェテリアプランは、このような不公平感をなくすとともに、メニューを増やすことで、それぞれのニーズに合わせた福利厚生を提供しようとするものです。上手に組み合わせて利用することで、これまで以上に、会社生活を豊かにかつ楽しくすることが可能になるといえるでしょう。
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