転職のノウハウ/転職での仕事・会社の選び方

あなたが成長する企業の見極め方(2ページ目)

自分が成長したい。もっと成長できる会社で働きたいといった希望を良く伺います。では、成長するためには、どんな要素が必要なのでしょうか?今回は、人が育つということをテーマに考えてみます。

執筆者:高野 秀敏

成長企業のトップを直撃!

現在成長をとげているIT業界でシステム開発やコンサルティングを行っているヘッドウォータース(以下、HWS)に取材をしました。まずは、トップである篠田庸介会長へのインタビューです。

【会社概要】
株式会社ヘッドウォータース

○事業内容
(1) システム設計・開発・運用
(2) コンサルティング
(3) システムインテグレーション
(4) システム開発のアウトソーシング
(5) ネットワーク構築・管理
(6) インターネットソリューション
(7) IT教育サービス



株式会社ヘッドウォータース篠田会長
株式会社ヘッドウォータース篠田庸介会長
ガイド高野
IT業界や成長企業では、離職率の高い会社が多いとお伺いしますが、御社ではわずか5%ぐらいだと伺いました。何かポイントがあれば教えてください。

篠田氏
入社の段階から、HWSの特徴をしっかり認識させ、覚悟を持って入社させること。通常のSIerと随分違う文化がありますが、それに合致する人材を採用すれば、他に行く選択肢はなくなります。

逆に採用の段階で手を抜き、合わないもしくは認識が薄いメンバーが入社すると、完全な拒絶となります。採用の段階から手を抜かないことがポイントです。

上記の前提には、他社と明確に違う差異があることが必要です。企業のミッション、仕組み、文化などに明確な差異が他社に対してあり、それに合致する人材を採用することが大事です。

また、個人のスキルアップよりも組織の勝利を優先します。個人のスキルは組織を勝利させるために使うものです。この認識を徹底し、各人が組織が勝利するための何らかのミッションを自覚し現場に行くことが、離職の少ない理由の一つだと思います。

さらに、オープン&フェアを徹底します。会社の情報も本人が望めば全て公開します。アンフェアな事は一切排除しようという風土が徹底されています。オープン&フェアを徹底出来れば、待遇上損をすることはありません。これにより各メンバーは、得も出来ませんが、自分の実力通りの評価を得られます。優秀な人間、努力を是とする人材は、他に移る必要が無くなります。

給与は、事業部長と話し合って決め、自分が取り組むプロジェクトも自分で営業しながら決めます。上司も部下も自分で選べる中で、全ては自己責任という認識となります。何かの問題を会社の責任へと転嫁しずらいので、他社への転職を考える前に自己の成長に意識が向かいます。

ガイド高野
採用の段階から厳しく人材を選別しているということ、また、オープンでかつフェアの方針で、情報開示を行っているという点がとても良いですね。

御社では11の事業があり、事業部長は公募制と伺いました。思い切った決断をされていると思うのですが、事業部長の権限や、抜擢された実例などあれば教えてください。

篠田氏
事業部長は公募制なので、抜擢という感じはありません。基本的には現事業部長の2/3の賛成と役員面談を通過すれば、事業部長になれるわけです。そこで見られるポイントがいくつかあります。

一つは身体を呈してでも、メンバーや会社に対する責任を果たそうという覚悟です。自分がやりたい業務やスキルアップよりも、泥臭い事にも取り組み、何としても収益を死守する。この姿勢がない人間が綺麗な事業計画を持ってきたり、ビジョナリーな話をしても採用されません。身体を張る気があるかが第一のポイントです。当然、事業計画の内容なども問われますが、その辺りに関しては未熟なら再提出を要求されるだけで、否決になりません。具体的にその本人がプロフィットを生み出すイメージが固まっているかどうかと、それを成し遂げる決意があるかが大事です。

基本的に給与は本人の分も含め、各事業部長が決定します。新入社員を自チームに受け入れるかどうかも、各事業部長が決定します。SIにおいて収益を確保しながら、チームごとに次の事業モデルを構築に入ったりもしています。

これらの動きに対して会社からの制約はなく、成果と連動し適切な報酬を次年度に決定することが出来ます。

事業部制導入は人間の性質を考えた時に、あまりリスクを感じませんでした。新しい価値観を受け入れさせる所に多少心理的な抵抗はあると思いましたが、本質的には多くの人間が理想として望む道であると認識しています。面白いのは、事業部制での権限の行使の部分よりも、これだけ明確に事業部を分けていながら、何かトラブルがあれば事業部の壁を越えて即時連携するところだと思います。

この事業部制のミソは、セクショナリズムを横行させない為に、第一義は「自社の勝利」という事をいかに情操教育として徹底させるかだと思っています。この面での成功が地味ではありますが、HWSにおける事業部制の本質的な価値だと思います。

ガイド高野
どんな組織でも、3人以上になれば、派閥ができるという話があります。セクショナリズムが起こらず連携が図れている。またそのような教育を行っているという点が良いですね。

では、社長が考える「将来成長する人材」とはどんな特徴があるかを教えてください。または、「こんなやつは成長しない」という駄目な例でもかまいません。

篠田氏
自分のスキル、自分の報酬、自分のキャリアパスなど視野が大局的ではない人間は成長しないと思います。「仲間の~」にするだけで、自分の価値は飛躍的に上がるはずです。

自分の二段階くらい上の立場に立って、思考できる人間は伸びます。「課長はこういう意図で発言したはずだ」「この方針は社長のこの価値観から出ていると思われる」「部長は俺がこう動けば、助かるに違いない」など視点をより高みに持ち、自分の発言や行動を決められる人間は成長します。

人生における先行投資を理解している人間は成長します。成長が実現し、実感されるまでには、相応の歳月がかかります。その間に行うあらゆる努力は見返りのない先行投資になります。休みの日に勉強するのも先行投資ですし、成長はするが困難な仕事に挑戦するのも先行投資です。未来がなければ無駄な労力にも見えます。努力と見返りまでのタイムラグを理解し耐えられる人間は成長出来ると思います。

人間が本質的に成長するには「リスク」と「青天井の裁量権」の二つの要素が一番大事だと思います。リスクを背負い、それと同時に付与される裁量権を駆使してビジネスを創り上げる事が、人間の成長を一番助長します。逆に、これに取り組める人、これに耐えられる人が伸びる人だと言えます。

ガイド高野
他人とまったく同じことをしていては、成長はないでしょう。不況の今こそ、自分自身に投資をすることが重要ですよね。


次のページでは、ヘッドウォータースの成長著しい若手社員のインタビューをご紹介
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