(記事掲載日/2008.01.17)

3月22日は台湾総統選挙が行われる日です。陳水扁総統の任期が切れ、今年は8年ぶりに新しい総統が誕生することになります。あと2ヶ月あまり、どのような候補がいるのでしょうか? 選挙の状況は?

1ページ目 【台湾政治システム、基本知識】
2ページ目【台湾の二大政党と独立問題】
3ページ目 【台湾総統選挙のゆくえは?】

台湾政治機構は「五権分立」体制

台湾の政治機構
台湾の政治システム。
まずは、台湾の政治制度についてかんたんにみていきましょう。

台湾は三権分立ではなく「五権分立」制をとっています。つまり、立法権・行政権・司法権のほかに「考試権」「監察権」を加えているのです。

これは、「中国独立の父」孫文の考え方からきているものです。

つまり、孫文は革命以前の官僚が皇帝たちの下僕であったことを批判し、「国民の公僕」として優秀な人材を集め、それを厳しく管理することもまた大事な権力である、と考え、「考試権」「監察権」を置いたとされています。

そのため台湾の政治機構は、各権力の最高機関として「立法院」「行政院」「司法院」「考試院」「監察院」が置かれ、その頂点に「総統」が君臨している構図になっています。

台湾の総統・内閣・議会

台湾の「国家元首」(日本などは台湾を国家としてはみていませんが)にあたるのが総統です。なにやらいかめしい名前ですが、英語では「プレジデント」と表記されるのが普通であるように、「大統領」にあたる役職です。

総統は任期が4年で、再選は1度だけ可能です。被選挙権は40歳で、台湾住民による直接選挙により選出されます。もっとも、このような形になったのは1990年からで、それまでは国民が選出することはできませんでした。

総統は行政院長を立法院(議会に相当)の同意を経て任命します。行政院長が首相にあたり、内閣にあたる行政院を指揮します。

議会にあたる立法院は一院制です。今年の選挙から小選挙区比例代表並立制に移行し、定数も225から113へと大幅に削減されました。73の選挙区、34名当選の比例代表区と並んで、先住民区が6つ設けられています。

ただし、台湾政治は議院内閣制のシステムを採用しているわけではないので、この選挙の結果で政権交代になるわけではありません。ただし、立法院の行政院に対する不信任決議権と、それに対抗する立法院解散権は認められています。

「中華民国」と台湾

中華民国と台湾
「中華民国」を完全になくすことは、台湾の独立につながる構造になっている。
台湾には以前、立法院の他に「国民大会」というものがあり、ここで総統選挙や憲法改正などを行っていました。

もっとも、国民大会の議員選は1991年までまったく行われていませんでした。国民党の一党独裁支配が続き、大陸から逃れてきた議員がそのまま「万年議員」化していたのでした。

しかし1991年の憲法改正で国民大会の議員は4年ごとに住民の直接選挙で改選されることになりました。

そして2005年、国民大会は自らを廃止する憲法改正案を承認し、その幕を下ろしました。それと同時に、「台湾憲法」である「中華民国憲法」の改正は、国民投票によって行われることになりました。

また、「中華民国(台湾政府)が中国の正統国家である」との考えから長年続いていた「台湾省」の扱いも簡素化しています。すでに1997年、台湾省長や省議会は廃止されています。

もともと「台湾に逃れてきた中華民国政府」が治めていた地域、という色合いの濃かった台湾ですが、ここ10年で、その色は次第に薄れつつあります。しかし、全中国の正統国家であることを示す「中華民国」の「国名」は、下ろしてはいません。それは、「台湾独立」と大きく関わることだからです。

台湾は独立すべきかしないべきか、それが政党政治のなかでどのように展開されているのか、次ページで見て行きます。