(記事掲載日/2007.10.24)

日本の官僚制はなかなかわかりにくく、独特のところがあるといわれます。事務次官とはどのような職にあるのか、キャリアとノンキャリアの違いとは、出世のシステムとは……わかりやすくお話ししていきます。

1ページ目 【事務次官とはどんなポストなのか】
2ページ目 【省の中にも「官房」がある】
3ページ目 【キャリア官僚の出世レース】

省の「官僚のトップ」が事務次官

省のしくみ
政治任用職の下、官僚である資格任用職のトップが事務次官。
内閣のもと12ある省には、大臣を頂点に、副大臣、大臣政務官、事務次官、局長、課長というヒエラルキーが存在しています。もっとも、これはあくまでざっとみた感じのものです。

このうち大臣はもとより、副大臣、大臣政務官は「特別職」であり、原則として国会議員のなかから任命されます。このことを「政治任用」といいます。

事務次官以下は、官僚が任命される「一般職」であり、その官僚たちは国家公務員試験合格という資格を前提とした「資格任用」によって国家に雇用されています。

もともと戦前は、官僚のトップである「次官」が1人いて、大臣を補佐していました。戦前の次官の地位は大きなもので、次官は「高等官」では2番目の「勅任官」とされていましたが、これは貴族院・衆議院の副議長と同等で、帝国議会の議員よりも2ランク上に位置づけられていました。

しかし戦後、国会議員から政治任用される「政務次官」がおかれ、その下に、トップ官僚が就任する「事務次官」が置かれることになりました。そして1999年、「政治家主導」の国会運営や政治をめざして政治任用職である副大臣と大臣政務官が置かれ、政務次官は廃止、現在に至っています。

事務次官は官僚が(官僚として)上り詰めることができる最高のポストです。任期の定めはありませんが、1~2年というのが慣例です。ただし、あくまで慣例であることには注意が必要です。

例えば更迭問題で揺れた守屋前防衛事務次官は在任4年を超えました。小池前防衛相が守屋氏を更迭しようとした表向きの名目はこの在任期間の長さにありました。

事務次官と同期の官僚は省から去る「掟」

事務次官はその省における官僚のトップであり、「偉く」なくてはいけません。

そのため、事務次官と同期のキャリア組官僚(国家公務員I種試験合格者)は、事務次官より「偉くならない」よう、省から去っていくことが、これまた「慣例」になっているのです。

なので大臣がえらく若い人を次官として抜擢すると大変なことになってしまいます。また、こういったことからキャリア組官僚の在職期間は短く、そのことがその後の「天下り」を正当化しているところがあります。

もっとも、「官僚のトップ」格は省によって多少異なります。法務省では検事総長、外務省では駐米大使または駐英大使がトップ扱いされています。

事務次官の会議が法律案を事実上決定している

事務次官等会議
閣議のたいていのことは、実は事務次官たちによって事前に決定されている。
事務次官たちの会議のことを「事務次官等会議」といいます。戦前からあったもので、「等」になっているのは、警察庁長官や金融庁長官も入っているからです。

事務次官等会議は原則として月曜日と木曜日、首相官邸で開かれます。これは週2回行われる定例閣議の前日にあたります。

主宰するのは事務方の内閣官房副長官です。内閣官房副長官は3人いて、うち2人が政治任用職、1人が事務方です。このポストは慣例上警察庁・総務省・厚生労働省・国土交通省の事務次官経験者(警察庁は長官がこれにあたります)が就くことになっています。この4省庁はいずれも戦前の旧内務省を起源にしています。

この会議もまた形式的なもので、調整はすでについていることが普通です。ここで決まった案件を官房副長官がとりまとめ、翌日の閣議にはかります。法案等の多くはこうして決まっていきます。法律の不備について省庁の責任が問われたり、法律改正について省庁が検討するのはこのようなことからくることです。

事務次官以外のポストはどのようになっているのでしょうか。次ページでお話ししていきましょう